計画の特徴  
  • 地域に寄り添った計画策定

連携企業数:2社
業種:製造業
連携の類型:地域における面的な連携

連携事業継続力強化計画を策定したきっかけを教えてください。

2007年に事務所が全焼する火事を経験しました。電気・水道等のライフラインがストップした状況で、手を差し伸べてくれたのは地域の企業や住民の方々でした。そのときに感じたことは、1社で復旧するには限界があるということでした。1社よりも2社、そして地域との連携が不可欠であるということでした。会社の周囲には、5本の河川があり、浸水リスクが高い地域です。今回連携計画を策定して、当社で火災があったときに地域の方々が助けてくれたように、今度は当社が中心となって地域の災害対策を図るという決意で計画策定に至りました。

連携事業継続力強化計画を策定したことで、連携企業間で何か変化したことを教えて下さい。

計画を策定するなかで、お互いの防災への取組、危機管理意識を共有できました。過去に東日本大震災で荷物が崩れたり、計画停電で生産ができないなどの影響があったので、災害に対しては備えていくことが重要だと認識しています。計画では、お互い現在備えている防災設備等の共有を行い、不足している防災用品に関して1~2年かけて少しずつ揃えていく準備をしています。また、地域の災害対策についても話し合い、連携企業で持っている大型発電機を利用して、連携企業の工場を有事の際に地域の人たちの避難所として提供できるように進めています。

策定した事業継続力強化計画のポイントを教えて下さい。

災害発生後に速やかに工場が稼働できるようにすべく、連携企業同士の工場の「見える化」に取り組んだことです。これは連携する2社が事業を行うために必要な共通点が「人が集まらなければ工場の稼働は出来ない」ということだったためです。そこで人さえ集まればお互いの仕事ができる状態にするために、お互いの工場の見える化に着手しました。まず、連携事業者間でお互いの会社の組織図を共有しました。通常、他社と組織図を共有することは滅多にありませんが、組織図を共有したことでお互いの仕事の動き方や、困ったときに誰に聞けばよいのか、といったことが一目でわかるようになり、有事の際に非常に有効であると感じております。また、お互いの会社内の地図も共有し、設備の場所の把握もできるようにしました。有事の際に危険性が高いエリアや避難経路を共有することで、救助や復旧作業がスムーズに進む準備をしております。そして、「自然災害が発生した場合における対応手順マニュアル」を連携計画と並行し策定して、従業員にとって分かりやすく、従業員が有事の際にすぐに動くことができる計画になるよう意識しました。

連携事業継続力強化計画を実施したことで感じた課題について教えてください。

防災マニュアルを都度見直すことが必要だと感じています。防災マニュアルの中では、緊急時の連絡網を作成し、当社では、電話番号で連絡網を構築し、連携企業では、LINEで連絡網を構築しました。実際、雪の日に送迎訓練を実施したときに緊急連絡網を利用しましたが、結局個別に従業員間で連絡を取っていたため、緊急時の連絡網が機能せず改善の必要性を感じました。現在見直しを行い、緊急掲示板のシステムを導入し、システム上でグループを作り、緊急時に連絡が取れる体制整備を進めています。防災マニュアルで決めたことが実態にあっているか訓練等を実施して確認を行い、マニュアルを見直し続けることが大切だと考えています。

策定を検討されている事業者に対してアドバイスなどあれば教えてください。

連携計画策定にあたっては、生産体制や災害に関しての考え方が違う企業とお互いの意見をすり合わせ、実態にあった計画を策定することが大切だと感じています。それぞれの企業の実態に合わせたものでないと、本来の目的である「従業員の命を守る」、「雇用を守る」ということが実現できなくなってしまうからです。連携企業間で策定した防災マニュアルには、お互いの会社の消火器や棚・機械がわかるように配置図を共有して、消火活動や地震で棚やモノが倒れたときの救助がスムーズに行えるように準備をしました。単独型と比べて連携型は、策定に時間を要しますが、実際の災害を想定して連携企業と様々な角度から意見を出し合い、取組を検討することで「実現性のある計画」が策定できると思います。

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事業継続力強化計画(中島プレス工業有限会社)

最終更新日:2022年5月31日