事業継続力強化計画の特徴  
  • 災害の想定に徹底的に取り組み、自分ごととして捉えた計画策定

所在地:山武郡横芝光町
業種:農業
従業員数:2名

御社の概要を教えて下さい。

長ネギとお米を生産しています。畑の面積は全部で7haあり、ITや機械を活用しながら少人数でも効率的に生産できる作業体系を考えて実践しています。

事業継続力強化計画を策定したきっかけを教えてください。

当初は補助金の申請を検討している中で事業継続力強化計画を知り、地元の商工会が開催するセミナーに参加したことがきっかけでした。農業という仕事柄、自然とは密接に結びついており、自然の素晴らしさと恐ろしさがいつも身近にある状況でした。農業を行うにあたって野菜を守るために雨風への対策は敏感でした。しかし自然災害にも備えておかないと、たとえ野菜が守れても会社を守ることはできないと気が付き、本気で計画を策定しました。実は東日本大震災の際、すぐ近くを流れる川に津波が遡上し、同じ町内では浸水被害が発生した地域がありました。更に令和元年の台風19号では同じ町内で21日間停電した地域がありました。このように災害を身近に感じたことも策定のきっかけとなりました。

策定にあたって苦労した点を教えて下さい。

自然災害の想定を定量化することに苦労しました。当社は九十九里浜から2.5km離れていますが、海抜は2m程度で津波が到達する可能性があります。また河川にも近い場所です。しかし最寄りの避難所までは徒歩で40分程度と遠く、避難所まで到着しても避難所の海抜は5mもありません。実際に災害が発生したらどのくらいの時間的な猶予があるのか、どの程度の避難のレベルが必要なものなのか、正確に理解したうえで対策を取ることが必要だと考えました。そこでインターネットで調べた結果、四国や九州の太平洋沿いの地域が具体的なシュミレーションを作成し、情報公開されていたので、それらを参考にして自然災害の想定を具体的にしていきました。

事業継続力強化計画を策定したことで、社内外で何か変化したことを教えてください。

社内で備蓄品を定量化できるようになったことです。従来は何となく防災のためにという理由で、備蓄量を持ちすぎてしまい、結局無駄になってしまうことがありました。これは計画を作る際に自然災害の想定の定量化したことで具体的にした結果、適切な備蓄量が自ずと決まっていったためです。燃料やスタッフ用の飲料、水害発生時の殺菌剤などを備蓄していますが、定量化できるようになったため、無駄がありません。
社外では商工会の事業計画に防災が掲載されたことです。当社の周辺では東日本大震災や令和元年台風19号での被害がありましたが、防災に取り組む企業は少ない状況です。当社が計画を策定し始めたときには、防災に取り組んでいること自体がマイノリティでした。しかし昨今の災害を見ていると、本気で考えなければいけない問題だと考えています。そのためには防災に取り組みましょうと言い続けていくこと、そして皆が自分事にしていくことが必要だと感じています。

策定した事業継続力強化計画の進捗を教えてください。

農業用の機械や農機具はいずれも高額で、建物が被害を受けるとこれられの設備に影響が出ることから、建物の耐震性に対しては対策が不十分でした。そこで計画策定後に新たな作業場を建設しました。計画を策定する際に自然災害の想定を定量化したからこそ、建物の基礎の高さやソーラーパネルのパワーコンディショナーの位置、非常用コンセントの位置などは津波等を想定して設置場所を決定できました。また農薬の保管庫や農業機械を選ぶ際にも、災害を想定して選ぶようになり、事業継続力強化計画が行動指針になったと感じています。またITも導入し、アプリで農業日誌を残すことにチャレンジしました。アプリの有効な点は写真や動画で過去の情報を残すことができる点です。当社で生産している長ネギは1年に1回しか収穫ができません。そのため写真や動画でどの状態のときにどういった作業をしたのかというデータを残しておくことが非常に需要になってきます。アプリを導入することで栽培歴を簡単に残しておくことができ、仮に被災しても事業を復旧する際に過去の栽培歴を参考にして生産を行うことができるようになります。

▲地震・水害を考えて建てた新しい作業場

▲津波を考えて高い位置に設置されている電気配線

事業継続力強化計画の詳細はこちら

事業継続力強化計画(株式会社清左衛門)

最終更新日:2022年7月8日