株式会社清左衛門 事業継続力強化計画 抜粋

事業継続力強化の目標

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計画期間 2020年7月~2023年11月
事業継続力強化に取り組む目的
  • 自然災害発生時において、人命を最優先として、社員と社員の家族の安全と生活を守る。
  • 地域農業からの要請に応えることで、地域社会の安全に貢献する。
  • 野菜の供給の継続、または早期の再開により、お客様への影響を極力少なくする。
影響を与える自然災害等の想定 当社は、九十九里浜のほぼ中央に位置しており、海岸からは 2.5km、海抜は2m。東日本大震災では直接的な津波被害はなかったが、地震による液状化および津波、河川から近いことから河川の氾濫による土砂災害を特に注意する必要がある。千葉県横芝光町が発行するハザードマップでは、津波が到達しない、土砂災害が発生しない区域に立地している。
<地震>
南海トラフ地震で、最大震度5強であり、地震発生の41分後に最大7.7mの津波が到達する。砂地に立地することから、液状化の可能性と津波避難の難しさがある。
<土砂災害>
直線距離で350mの位置に2級河川栗山川があり、河川の氾濫による浸水被害および土砂災害が発生する可能性がある。
自然災害等の発生が事業活動に与える影響

(人員に関する影響)

営業時間中に被災した場合、作業場に保管している消耗品や備品の落下、避難中の転倒などにより、けが人が発生する。従業員は自家用車で出勤しており、地震での液状化により自宅まで帰宅困難が発生する。土砂災害河川の増水及び用水路等の決壊により、主要な橋の通行止めが発生し、帰宅困難が発生する。これら被害が事業活動に与える影響として、復旧作業の遅れ、事業再開時において特定の従業員が専属で担当していた部分について業務再開が困難になること、出荷量が減少することなどが想定される。

(建物・設備に関する影響)

事業所の建物は、新耐震基準を満たした建物と、そうでない建物と様々あるが、いずれも平屋倉庫であり、営業中はハウスまたは屋外作業のため、揺れによる建物と人員への直接被害は大きくないと考える。しかしながら、農業用機械や農機具はいずれも高額であるため、建物が被害を受ける=農業用機械や農機具も被害を受けることにつながることから、耐震性については対策が不十分である。設備では、停電が発生することでコンテナ冷蔵庫、冷凍庫、出荷調整設備、水道ポンプが停止する。台風など暴風を含む発災では配線や屋根、農業用ハウスが被害を受ける。3日以上の停電では、冷蔵 冷凍貯蔵品の在庫も損傷する。インフラについては、電力 水道は1週間程度停止するほか、主要道路が3日程度通行止めとなる。これら被害が事業活動に与える影響として、調整出荷ラインの全部または一部の停止が想定される。また、普通物ではあるが、農薬取締法に基づく薬剤を備蓄している。これらが暴風雨や水害等により落下や水没が発生し、これに端を発する薬物汚染の可能性があり、複数の対策はなされていない。

(資金繰りに関する影響)

資金繰りについては、設備の稼働停止によって営業収入がえられないことで、運転資金がひっ迫するおそれがある。建物 設備に被害が生ずる場合にあっては、これらの復旧費用が必要となる。これら被害が事業活動に与える影響として、円滑な資金調達が出来なければ、運転資金が枯渇すること、復旧費用を捻出てきないことが想定される。

(情報に関する影響)

停電等により、パソコンが稼働しない可能性がある。また、作業日誌や作付け計画等の紙媒体が使えなくなり、栽培歴など重要な情報が損失する可能性がある。これら被害が事業活動に与える影響として、取引先への請求、売掛金の回収、生産 出荷を継続するために必要な栽培歴が不能となリ、経営が困難となる可能性がある。

(その他の影響)

取引の際の被災や公共交通機関の影響により、被災後すぐに対処が必要な殺菌剤や殺虫剤などの農薬、新たな作付けに必要な肥料などの原材料の調達が困難となり、野菜の品質劣化、作付け不能により出荷不能の可能性がある。これら被害が事業活動に与える影響として、取引先と計画通りの納品が行えない事態が想定される。また復旧までが長期化する被災では、ガソリン、軽油といった農機具を稼働させるために必要不可欠な燃料の不足も想定される。

事業継続力強化の内容

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項目 初動対応の内容 発災後の対応時期 事前対策の内容
人命の安全確保 従業員の避難 発災直後 当社拠点内の安全エリア設定、避難経路の周知、避難所までの避難路確認
従業員の安否確認 発災直後 従業員の連絡網の整備(LINE)
生産設備の緊急停止方法 発災直後 緊急時の機器停止手順の周知、確認
顧客への対応方法 発災直後 職業訓練校に受け入れ者の状況報告
非常時の緊急時体制の構築 代表取締役を中心とした災害対策本部を立ち上げ 発災後2時間以内
  • 設置基準の策定
  • 災害対策本部の体制整備
被害状況の把握
被害情報の共有
被災状況、生産 出荷活動への影響の有無確認、当該清報の第一報を顧客及び取引先並びに連携会社、商工会に報告 発災後24時間以内
  • 被害情報の確認手順の整理
  • 被害情報および復旧の見通に関する関係者への報告方法、対外的な情報発信方法の策定

事業継続力強化に資する対策及び取組

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自然災害等が発生した場合における人員体制の整備 <現在の取組>
現在、具体的な対策は行っていない。
<今後の計画>
  • 本社から10km圏内に全従業員が居住している。今後入社する社員が移住者の場合は、町内在住に関する情報提供や支援情報を作成し、事業所周辺に居住してもらえるような整備をする。
  • 被災時に道路状況等により2WDでの帰宅が困難な場合、社用車4WDを貸し与えるなどし、帰宅支援を行う。
  • 代表取締役は本社事務が多く、被災弱者の観光客を誘致する業務に携わっているため、当社が被災した場合、現場責任者は常勤している取締役に任命する。
  • 本社機能を同一としている、株式会社なんじゃもんじゃリゾートに人員協力を行い、被災弱者の観光客の避難支援を行う。
事業継続力強化に資する設備、機器及び装置の導入
<現在の取組>
現在、具体的な対策は行っていない。
<今後の計画>
  • 耐震性のない倉庫や建物は、耐震性や水害に強いものに更新していくことで、高額で復旧に必要な重機や農業機械を守る。停電の発生に備え、今後更新する建物の屋根にソーラーパネルの設置、蓄電設備を整備する。なお地域 業務柄、蓄電設備は EV車やPHEV車で代用することで、日常業務にも活用する。
  • 農業用ハウスを新たに設置する場合は、暴風雨に対応する骨組みを追加し、ビニール破れなど最小限の被害にとどめる。
  • 基準に基づき、農薬保管庫及び燃料保管場所を設置し、複数のリスクヘッジ、被害を最小限にとどめる。
  • トラクターなど汎用性機械については、AIやGPSなどを活用した自動運転機能のある機械など自動化、効率化、大型化を導入することで燃料費の削減、悪条件での作業実現、雨天や夜間での復旧作業を実現させることで当社の早期の復旧復興、地域農業からの要請を実現する。
  • 当社をはじめ地域の中心作物である長ネギが被災した場合、初動に必要なことは、ある程度の悪条件下での排水作業及び殺菌剤や殺虫剤の散布、畝上げ作業である。これらを大型化 効率化を図ることで当社の早期の復旧復興、地域農業からの要請を実現する。さらに、地域で初めてとなる長ネギの新たな作業体系(乗用トラクタでの長ネギ栽培管理)について、農機具メーカーやJAと共に研究することで災害に強い作業体験を構築する。また、調整出荷作業について災害時に早急な復旧が可能な生産効率性の高い設備、消費電力が小さいインバータ式の機械、夜間でも調整出荷が可能な静音機械の導入・更新を図る。
事業活動を継続するための資金の調達手段の確保 <現在の取組>
  • 現在、火災保険に加入している。2019年10月の台風での被災以降、すべての自然災害に対応する保険に加入し直した。
  • 作付け野菜への共済には、中心作物のネギが加入できず、その他の希少な野菜も品目から加入てきなかった。
  • また、収入補償に関する保険は、売上における掛け金が高率・高額て持続可能な保険とは考えられず、加入していない。
<今後の計画>
  • 作物に対する保険は、NOSAI以外にもあることから、他の保険を検討する。
  • 営業車両に対する保険は水災などに対応していないため、再度検討する。また、農機具に対する保険も検討する。施設被害や営業停止により、早急な資金が必要となった場合は、商工会の経営指導員に相談をする。
事業活動を継続するための重要情報の保護 <現在の取組>
  • 営農に必要な情報は紙媒体で保管しており対策できていない。
  • 本社機能を同じくする株式会社なんじゃもんじゃリゾートでは、独自BCPを設定し、2019年度の台風被災を受け、大型発電機を導入しておリ、最低限の事務機能を共有できる。また当社同様のV2H導入を予定しており、停電時の100V電力確保のための設備を融資により実行する予定である。会計システムは、TKCを利用しているが、定期巡回(月1回)まてはパ‘ノコン上でのデータ保管となっている。現在代表取締役は、横芝光町商工会青年部の副部長であり、災害時の情報ネットワークを構築している。
<今後の計画>
営農に必要な作業日誌や作付け計画、圃場事の栽培歴などの情報は、クラウド型のIoTシステムを導入し、マルチメディアで社員全員がいっても情報共有できるシステムを構築する。

こぼれ話

観光客を守る看板を設置

株式会社清左衛門の秋葉社長は株式会社なんじゃもんじゃリゾートという宿泊施設も運営されています。両社は本社機能を同じくしており、連携して防災に努めています。宿泊施設であることから被災弱者である観光客の支援に気を配られております。もし観光客が旅行先で災害が発生した場合、観光客は旅先での土地勘が無いため、避難が必要な場面でもどこに逃げたら分からない状況が発生します。最悪の場合、海の方面に逃げてしまい、津波に巻き込まれてしまう可能性もあります。また観光客だけではなく、地域の住民も災害発生時にはパニックに陥り、避難すべき方面が分からなくなってしまう可能性があります。そこで秋葉社長は避難する方面が明確に分かるよう、自費で電柱に看板を設置されました。自社だけではなく、地域全体の防災も考えて取組を進められております。

最終更新日:2022年7月8日