協同組合横浜マーチャンダイジングセンター

計画の特徴  
  • 実効性のあるコンパクトな計画策定

連携企業数:5社
業種:卸売業
連携の類型:地域における面的な連携

なぜ連携事業継続力強化計画を策定したのか教えてください。

令和元年9月に到来した台風15号による暴風高潮によって、至近の護岸が決壊し、組合員の半分近くが被災をしたことがきっかけでした。実際の被害としては、団地の広範囲が路面から70cmの高さまでの浸水しました。 卸売団地ですので、商品在庫や荷物を上げ下げするエレベーター、また建物自体に被害が出たケースもあり、地震以外の想定も含めてBCPの見直しが必要と感じたため、計画策定に至りました。

策定した事業継続力強化計画のポイントを教えて下さい。

ポイントはコンパクトな計画であることです。特に計画策定と並行して、計画の内容で特に初動対応を中心に重要なエッセンスを1枚にまとめた災害対応まとめシートを作成しました。これは被災の経験から、誰でもわかるものをつくるべきだと感じたことがきっかけでした。台風被災直後、特に組合の事務局では、被災した組合員のフォローをしなければと思う一方、そもそもどのようにフォロー体制を組めばよいのか、毎日が悪戦苦闘でした。また事務局だけでなく組合員の企業も、通常の業務と災害対応を並行して行わなければなりません。実は当組合は被災してから約3ヶ月はこの状態で、担当者には相当な負担がかかりました。またBCPはありましたが、誰もが瞬時に理解できる内容ではなく、しかも分厚い冊子になっているので、緊急事態では上手く活用されませんでした。この経験から、誰でもこの災害まとめシートを1枚見れば、次の対応方法が発想できる、簡潔でわかりやすいものを作成したいと思いました。今回は中小企業基盤整備機構の連携計画策定支援を活用し、専門家と連携計画の策定と、計画の中でも重要な事項を1枚のシートにまとめることにしました。

策定にあたって苦労した点を教えてください。

感染症の対策の検討は苦労しました。地震や風水害は共通する部分がありますが、感染症は別物で、状況も日々変わっていくところもあり、中小企業基盤整備機構の専門家に聞きながら対応を整理していきました。 また計画から1枚の災害対応まとめシートにまとめる作業では組合事務局と組合員企業の両方の動きが見える形でまとめることに苦労しました。行動フロー自体も、組合事務局版と会員企業版に分けて作成したので、事務局サイドと組合員企業サイドで分けることにしました。最終的にはこれを1つにまとめて「見える化」するため、時系列ごとに整理をしつつ、立場ごとに何をすべきかが分かるように整理をすることに力を入れました。

連携事業継続力強化計画を策定したことで、連携企業間で何か変化したことを教えて下さい。

埋立地に立地していることもあり、元から防災意識の高い組合でしたが、防災の意識が更に高まりました。いまは計画を策定したばかりなので、これからは計画の実行に移していきます。災害時の対応など、検討した内容を防災訓練を活用して、今後更にマニュアル(災害まとめシート)をアップデートしていきたいと考えています。

計画の進捗状況を教えて下さい。

令和元年の台風で高潮浸水被害を受けたので、組合会館に高さ1mの簡易防潮板を設置しました。養生テープ・土嚢・ブルーシート等は既に組合で用意を行い、実際に令和2年の大型台風の到来前に配布を行いました。また計画とともに作成した災害対応まとめシートは全組合員へ配布し、周知を図りました。

連携事業力強化計画を策定した感想を教えて下さい。

やるべきことを計画という形にできたことに加え、当組合では計画策定と合わせて災害対応まとめシートを作成できたことも大きいです。被災をした経験から、コンパクトな計画にこだわってきました。分かりやすくて持ち歩ける分量のものにすることはお薦めしたいです。よく会社の壁に貼っておく企業もあると聞きますが、建物が潰れてしまうという可能性もあります。コンパクトにこだわって計画を作っていったことは、これから計画策定される方にも参考になると思います。(計画詳細に実際のまとめシートを掲載しています。

支援した中小企業基盤整備機構専門家のコメント

今回は被災の経験から対策や取り組みを見える化し、最終的には1枚にまとめたいというご希望がありましたので、これを実現すべく対応の整理に力を入れました。特に連携の中心になっている組合の事務局だけではなく、組合員企業の皆様にも分かりやすいものにすることを意識して取り組んで参りました。防災の話となると個々の具体的なお話になりがちで膨大な計画になったり、結局何をすべきか分からなくなるということもあると思います。そんなときに専門家が入ることで課題が整理され、実効性のある計画に仕上げるお手伝いができると考えており、企業の皆様のお話をしっかり聞き、個別の連携体に合った内容にカスタイマイズすることを常に心掛けて支援を行っております。

中小企業基盤整備機構では連携事業継続力強化計画の策定支援を行っています

近年地震や台風等大規模な災害が毎年のように発生しています。災害が大規模であるほど自社だけでは対応できない問題が発生する可能性が高いです。そんな時、連携事業継続力強化計画を策定しておくことで地域の企業と連携して人員やモノ、情報を共有したり、他地域の企業と連携することで代替生産を依頼することもできます。しかし連携するために何をしたらよいのか?方法が分からないというお声をよくお聞きします。中小企業基盤整備機構では、連携事業継続力強化計画策定のハンズオン支援を行っております。無料で専門家を3回程度派遣し、課題の整理から計画策定までをサポートしています。

連携事業継続力強化計画に興味がある方はぜひ以下までご連絡ください。
中小企業基盤整備機構

https://www.smrj.go.jp/sme/enhancement/kyoujinnka/index.html

事業継続力強化計画の詳細はこちら

連携事業継続力強化計画(協同組合横浜マーチャンダイジングセンター)

最終更新日:2021年5月14日