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令和2年関東経済産業局長年頭所感

令和2年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

昨年は、台風など大規模自然災害が立て続けに発生し、まさに激動の一年でありました。新たに始まるこの一年が、皆様にとって、明るく希望に満ちたものとなりますよう祈念しております。

さて、令和という新しい時代に入り、世界経済は大きな変化に直面しています。国際情勢の地政学的な変化の中、米中対立の問題は長期にわたり我が国企業に影響を与えていくでしょう。また、デジタル革命の進化は、世界の企業競争力や富の集積に大きな変化をもたらしています。この分野で日本は世界に遅れを取ってしまいましたが、今後サイバー空間の技術と現実世界のものづくり技術の融合が大きな焦点となってくると思われ、その勝機を確実に掴む必要があります。

こうした激しい変化の中で、国内においては地域の人口減少が加速しています。当局管内においても北関東や甲信越静から首都圏に若者が毎年3万人流出しています。これではとても地域経済が持続可能とは言えません。この状況に甘んじて「茹で蛙」になるのではなく、自らを変革させ局面を打開していくことが求められます。関東局としても、こうした問題意識を持って、日本経済と雇用の基盤である中小企業を支えるため、本年も以下の政策を始めとして全力で取り組んでまいります。

第一に、中小企業の「稼ぐ力」を高める支援を強化してまいります。地域の人口減少問題の解決には、地域を支える中堅・中小企業が高い給料で若い人の雇用を確保できるよう高付加価値経営モデルへの転換が大事です。必ずしも量産指向でなくても、多様な需要に応える利益率の高い事業のチャンスは数多くあります。ただ、そのためには自社の経営戦略や組織マネジメントの転換も不可欠です。一例を挙げると、ある自動車部品製造企業は、量産品の下請という利幅の低い事業への依存から脱却し、小ロット・特殊部品ながら独自ブランドで利益率の高い事業に転換したところ、会社として自助努力で報われる領域が拡大、社員も当事者意識を持って取り組むようになり、残業減少、賃金上昇、新規求職者拡大という好循環につながりました。これはある種の「自己変革力」と思います。自らを変革するためには、経営者や社員が、変化しないことのリスクに対する「危機意識」、変わるために何をなすべきかを一人一人が考え抜く「当事者意識」を持つことが大事です。ただ、自己変革力を高め、事業構造の転換を経営者単独で乗り越えていくことはなかなか容易ではありません。経営者を取り巻く行政、支援機関、金融機関がしっかりとサポートしていくことが重要です。関東局としても、地域企業の経営者に寄り添いながら、経営構造の転換と企業の潜在成長力を引き出す「伴走型支援」に注力してまいります。企業が長期的に稼ぎ、成長していくための本質的・構造的な課題を、企業の皆様と対話してまいります。そして様々な課題に対して「地域未来投資促進法」を始めあらゆる政策資源を総動員し、関係機関と協力して解決に取り組んでまいります。

第二に、創業、オープン・イノベーションの促進と事業承継への対応についてです。情報のスピードが速いデジタル時代において、すべてを自前で開発していくことが難しくなっています。むしろ他社のリソースを活用して積極的に連携するオープン・イノベーションが一層重要になってきています。このため関東局では、中小企業基盤整備機構との連携により「オープンイノベーション・マッチングスクエア(OIMS)」サイトを昨年7月に構築いたしました。この半年で既に約100件の技術開発ニーズが集まり、これに対して1600件を超える提案が寄せられ、そのうち160件以上が商談に発展しております。本サイトを通じ、地域企業の横の連携促進に努めてまいります。また、地域においては、素晴らしい技術を有する事業者が後継者不在により廃業するケースがあります。このような状況に対応するためにも、中小・小規模事業者の円滑な事業承継に向け、個人保証を不要とする信用保証制度の創設など、措置拡充を含め、様々な支援を行ってまいります。いずれにせよ、こうした関係者の横の連携がますます重要な一年となるでしょう。

第三に、令和の時代において、自然災害への対応は我々が避けて通れない大きな課題の一つであります。昨年の災害により被災された事業者に対しては、資金繰りに支障が生じないよう万全を期すとともに、設備・施設の復旧のための補助や風評被害の払拭、販路拡大などの対策を講じ、早期の復興を後押ししてまいります。また、今後想定される首都直下地震、南海トラフ巨大地震等の脅威に備えるため、自治体及び支援機関、他省庁等との連携体制を更に強化するとともに、中小企業のBCP策定支援を始め、サプライチェーンの強靭化への対策にも取り組みます。さらに、エネルギー関連分野においては、再生可能エネルギーなども活用し、地域での自立分散型のエネルギー事業の促進やIT・IoT・AI技術も活用した省エネルギーの推進など、地域の課題解決に向けた活動を進めてまいります。

その他、地域の中小・小規模事業者にとっては、下請取引の改善も大きな課題であります。昨年4月より、大企業においては全面的な働き方改革が始まっておりますが、中小・小規模事業者に取引上のしわ寄せがあってはなりません。本年も下請取引や消費税転嫁対策の監視を更に強化し、取引慣行の改善に努めてまいります。

リーダーシップ論で著名なハーバード大学のハイフェッツ教授によれば、物事には既存の知識により解決できる「技術的課題」と、本人の思考や価値観を変えなければ解決できない「適応課題」の2つがあると言います。自らの思考や意識を変える――構造変化が激しい令和の時代には、この適応課題と向き合うことが一層重要となりましょう。このことは、企業だけではなく、支援機関や金融機関、そして行政自身にも言えます。関東局としても、自らの存在価値を問い続け、現場に足を運んで中小企業の皆様のお役に立てるよう尽力してまいります。そして地域の経済界、自治体、関係機関と対話を進めながら、地域及び企業が自己変革に取り組み環境変化の波を乗り越えていけるよう、全力で後押ししてまいります。

本年も皆様の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。最後に、本年の皆様の御多幸と御健勝を祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

 

令和2年 元旦
関東経済産業局長 角野 然生

 

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