海外展開

 『Sakeシンポジウム〜日本酒を世界で楽しんでもらうために〜』を開催しました

産業部 国際課


 関東経済産業局では、関東信越国税局と共催で平成26年12月10日に『Sakeシンポジウム〜日本酒を世界で楽しんでもらうために〜』を開催しました。  

安藤局長挨拶
安藤局長挨拶

  現在、当局では「食」をテーマとして、食材、酒、器、テーブルウェア、食習慣など、広域関東圏の食に関連する地域資源を融合させることにより、相乗的な価値の創出を図るプロジェクト 「Global Neighbor Kitchen In KANTO」等を通じて日本食・日本産酒類等の海外展開を支援しているところです。
 本シンポジウムでは、「日本酒を核とした産業連携による海外展開」をメインテーマに、異業種連携による輸出戦略や、酒蔵ツーリズム®をはじめとするインバウンドへの対応をも視野に入れたテーマも含め、日本酒の輸出拡大を促進することを目的に開催しました。講師には、国内外で活躍する蔵元オーナー、酒器メーカー、料理教室、ワイン流通のプロフェッショナルをお招きし、講演及びパネルディスカッションを通じて日本酒の魅力や日本の魅力を世界へ効果的に発信するためのアイデアを提案していただきました。
 

シンポジウム開催結果

  • 日時:平成26年12月10日(水) 14:00〜17:30

  • 場所:さいたま新都心合同庁舎1号館 2階講堂

  • 参加者数:250名

     第1部 講演

    須藤代表取締役

    講演者 須藤 源右衛門 氏
         (須藤本家株式会社 代表取締役)
    演題 「日本の本質的価値の素晴らしさ〜日本の楽しさ」

    ◆日本酒を効果的に発信するために持つべき視点とは
     日本酒をお客さんに説明する際に、作り手・売り手の多くは成分や工程についての説明に偏ってしまい、楽しさがないため、消費者に理解されにくいところがある。ワインのように味(甘い、濃い等)や香り(華やか、メロンのような香り等)を消費者に分かりやすく楽しい内容を伝えていくことが必要。
     海外でも日本酒にとても興味を持ってもらえるが、併せて日本酒に合う料理やテーブルウェアについての質問を受けることも多い。オールジャパンとして日本酒以外の関連業界と共同で海外展開していくことが必要。日本酒をもっと楽しんでもらうのにはどうするべきか、特に女性に関心を持ってもらうための方法を考えていくと良いのではないかと思っている。国内では女性という切り口になるが、海外では必須と言う切り口になる。
    ◆日本酒を海外に普及させるためにはインバウンド推進が不可欠
     日本酒を海外に普及させるためには輸出だけでなく、インバウンドの推進も同時に行っていくことが不可欠である。海外の日本酒需要の開発、海外からの旅行者の流れを作るためには、海外現地の旅行事業者の招聘が必要であり、その際、受入れ先の人々が地元を知り・楽しんでいるかどうかが特に重要である。地元が楽しんでいない場所に旅行者は来ない。海外の旅行者は日本各地の日常を楽しむために訪れる。

    伊藤代表取締役

    講演者 伊藤 克紀 氏
         (株式会社カネコ小兵製陶所 代表取締役)
    演題 「日本酒と歩む『小兵』のやきもの」

    ◆海外一流ブランドからの叱責が自らを客観視するきっかけに
     世界的な高級洋酒メーカー主催の晩餐会にも使用された当社製品「ぎやまん陶 茄子紺ブルー」は、フランスの高級ブランドとも取引をしている。ある時、そのブランドに対して、フランス文化を意識した器の試作品を持参したところ、「海外文化に迎合した商品は要らない。日本古来の、日本文化に根ざした逸品を求めている」と予想外の反応が返ってきた。この海外一流ブランドから叱責された経験は、自社のミッションや自社製品、そして日本文化の情報発信のあり方を徹底的に見直す大きなきっかけとなった。
    ◆酒器とともに楽しむ体験を通して、より多くの人に日本酒を飲んでもらいたい
     当社はかつて業務用徳利の生産が主力であったが、現在では、徳利に加え、食器や酒器といった新しい分野にも挑戦をしている。例えば、酒器では、飲み口の大きさが異なる4種類の器を用意することで、日本酒の風味や味わいの変化を楽しむことができる。酒器とともに楽しむという経験を通じて、より多くの人に日本酒を飲んでもらいたい。

    宮坂代表取締役

    講演者 宮坂 直孝 氏
         (宮坂醸造株式会社 代表取締役)
    演題 「真澄の海外戦略とは〜輸出への取り組み」

    ◆苦しみながらも海外に挑戦し続けることで得た果実
     バブルが崩壊し地酒ブームも下火となり、売上の低迷に苦しんでいた1990年代後半、ちょっとしたきっかけで行った欧州への視察旅行でワイン生産者の真摯な取組みや創意工夫に感銘を受け、本格的に輸出に挑戦することを決意。1999年に世界最大のアルコール飲料展示会「VINEXPO(ヴィネクスポ)」に出展したものの、準備不足のため散々な結果に終わった。一方で、この展示会への出展を通じて、努力次第で日本酒が欧米市場に受け入れられる可能性があることも実感した。2度目の挑戦となる2001年の同展示会出展に向けて、通訳をしてくれるスタッフ探しから、海外パンフレットの作成、出展料をシェアしてくれる仲間(酒蔵)集めを根気強く行い、同展示会出展を成功裏に終わることができた。出展2回目での成功をきっかけに、輸出は本格化し、現在でも業績は順調に拡大している。特に、米国インポーターであるWSI(WORLD SAKE IMPORTS)との出会いと「VINEXPO」出展のサポートをしてくれた外国人(米国人、フランス人)が入社してくれたことが大きい。
    ◆輸出は目的ではなく手段
     輸出は売上全体の約10%を占め、事業としての利益も出てきているが、あくまで輸出は勉強の手段として捉え、海外展開で得た知識や感覚を国内に還元し、自社や国内市場を活性化させていくことが目的であると考えている。例えば、海外で「真澄」が認められ、海外のファンが増えることにより、社員やスタッフのモチベーションアップにもつながっている。

    梅田校長

    講演者 梅田 昌功 氏(夢クッキングスクール校長)
    演題 「変わっていく和食と日本酒 〜和食ブームの中で〜」

    ◆文化としての“和食”を理解してもらうためには
     和食ブームはユネスコ無形文化遺産に登録されてから更に高まっているが、一過性で終わらせることなく日本の文化として様々な形で発信していくことが必要である。例えば、日本とは環境や文化が大きく異なる外国の風土や習慣に合わせるように工夫することで、和食の間口を広げることが可能となり、おせち料理といった日本古来の伝統食を多くの外国人に楽しんでもらえる機会が増えていく。
     また、食の観点から日本酒を理解してもらうためには、日本独自の“旨味”文化を理解してもらうことが必要である。素材の良いところを短時間で取り出すのが日本のうまみ文化であり、そういう意味では、日本酒は和食に通じる要素を持っている。
    ◆食や酒を通じて積極的に“地方”を海外へ発信
     海外に伝わっている和食の多くは、東京の料理として認識されてしまっているのが現状である。地方の料理(や日本酒)を地方のものとして積極的に発信していくことで、地方という日本の地理的・文化的な奥深さを知ってもらう機会となる。

    大橋代表取締役

    講演者 大橋 健一 氏(株式会社山仁酒店 代表取締役、
    インターナショナル・ワイン・チャレンジ・ロンドン日本酒部門議長)
    演題 「ワインマーケティングの視点で見た日本酒業界と輸出のヒント」

    ◆輸出対象国・地域を客観的に捉え、外部環境を分析する
     海外販路拡大のために大切なことは、まず、”客観性(Objectivity) “を持つこと。外国の人にとっては、日本(酒)は異文化であるため、客観性を持って売ることが大切である。日本人の常識は外国人にとっては常識ではない可能性もあるため、輸出を考える対象国・地域の考え方や文化を客観的にとらえることが大事である。次に、市場・競争相手・流通事情・為替など酒類にまつわる様々な外部環境、自社製品を分析する“External Analysis”(外部分析)が大切である。市場・続争相手・流通事情・為替など酒類にまつわる様々な外部環境,自社製品の特性を分析し海外へ打って出る必要がある。
    ◆世界中に流通しているワイン業界の知見を活用しない手はない
     日本酒の海外販路開拓のためには、一から取り組むことも一つの方法ではあるが、既に世界に流通しているワインの販売網を使うことができれば、時間と労力を効率化することが可能になる。また、MW(マスター・オブ・ワイン)というワイン流通業に長けた存在に日本酒の存在を認識してもらうことで、日本酒という品目そのものの知名度を上げ、効果的な普及につながる可能性がある。世界80カ国で生産され、海外へのビジネス展開のために長年に亘り莫大な時間と資金が投入されてきたワイン業界の知見を活用できればチャンスはより大きくなる。

     第2部 パネルディスカッション

    テーマ:
    「日本酒を核とした産業連携による海外展開 〜日本酒の魅力を発信するパッケージングとは〜」
    コーディネータ:三宅 曜子 氏(株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役)(PDF:227KB)

    パネリスト:須藤 源右衛門 氏、伊藤 克紀 氏、宮坂 直孝 氏、梅田 昌功 氏、大橋 健一 氏

    ◆(三宅)「ご自身のご経験を踏まえ、海外展開の成功に結びついた切り口を教えてください」

     (須藤)海外で日本酒のプロモーションをする場合、日本酒の製造工程を話しても理解してもらえないことが多いため、“食”を切り口に日本酒をアピールしている。日本酒と食のマリアージュ(飲み物と料理の相性)で話すと興味を示してもらえる。
     

    ◆(三宅)「マリアージュといえばワインを連想してしまいます。ワインは選ぶ基準(色、味など)が明確で分かり易く、日本酒は複雑で難しいという印象受けてしまいます」

    (宮坂)日本酒を選ぶための基準というのは決して難しいことではなく、必要な情報が整理されていないところに問題があると思う。日本酒の愛飲者だけでなく、日本酒を知らない人にも理解しやすいように情報を整理する必要があると思う。
     

    ◆(三宅)「今後、世界でより多くの人に日本酒を楽しんでもらうために必要な観点やアイデアを教えてください」

    (須藤)日本酒だけでなく、その背景にある日本文化の素晴らしさやそれを取り巻く要素との関係(例えば、食の設え:酒器等の日本酒を楽しむ空間の演出)、日本(和)の文化、を含めたところから訴求していく必要がある。
    (伊藤)日本酒の試飲会を行う際、プラスチックのカップでの提供ではなく、酒器と一緒に日本酒を体験してもらう機会を提案していくことが必要である。当社の取組で言えば、今年(2014年)の11月に香港で開催されたアジア最大級の酒類関連の展示会に美濃焼協同組合と共同で出展したことで、そのような機会を作るきっかけになったと思う。
    (宮坂)こうしたシンポジウムも含め、国際戦略は日本人だけではアイデアが出ないと思う。国内にいる外国人も交えて考えていったほうがより良いアイデアが出ると思う。訪日旅行者を取り込む施策として、例えば、酒蔵の一部にテイスティングルームを作るなどの工夫が必要である。
    (梅田)日本酒を飲む機会をもっと増やしていくことが必要である。例えば、バルのような気軽に飲める場所を増やしていく必要がある。また、日本古来のおせち料理や神社に日本酒が奉納される理由といった歴史を改めて掘り起こすことができる機会を作っていくことも重要だと思う。
    (大橋)最も重要なのが客観性を持てるかどうかである。伝統を活かしながら、カスタマー・ニーズを的確に捉える努力が必要である。たとえば、若い人であれば、彼らが居酒屋でどんなお酒を好んで注文しているか等を観察することで、これまでになかった日本酒の飲み方が求められていることが分かるかもしれない。

    ○まとめ

    パネルディスカッション

    @日本酒をもっとわかりやすく情報を整理する。
    A多様な人々が日本酒を飲める場を作る(シーンであり、食であり、器でありそういった環境を作る)。
    Bわかりやすいストーリー作り(日本古来のおせち料理や神社に日本酒が奉納される理由など、歴史などを改めて掘り起こしてみる)。
    C客観視する。相手がどう思っているのか、どう考えているのかを視点を変えてみてみる。
    D多様な人々(企業)が様々な強みを持ち、連携することにより大きな力となり考え方に広がりが出る。   

    シンポジウムを終えて

     来場者アンケートでは、9割以上の方から「とても役に立った」「役に立った」との回答を頂きました。
     また、自由回答欄には、
     「単に輸出すれば良いという考えは甘いと反省した」「国内にいる外国人を交えて海外戦略を考えることの重要性に気付かされた」などのコメントを頂きました。 

      本シンポジウムにご参加及びご協力頂きました皆様に心よりお礼申し上げます。


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