平成27年度地域産業振興講座(第4回)受講生レポート

地域経済部 地域振興課

日時 平成27年7月16日(木)〜平成27年7月17日(金)
場所 中小企業大学校 東京校
テーマ
  1. 株式会社 菊池製作所 訪問     
  2. 経営革新的な発想を育成する講義 
    講師:草加商工会議所 中小企業相談所 所長 山崎 修
    対談者:逸見 貞治
  3. 自治体を経営する:離島に人が集まる秘密とは       
  4. 講師:島根県 隠岐郡 海士町 町長 山内 道雄

 第4回地域産業振興講座は7月16日(木)・17日(金)の二日間に渡り開催し、16日は「経営革新」をテーマに、午前中は株式会社菊池製作所を訪問し乙川取締役からご講演いただくとともに、工場内を見学させていただきました。午後には草加商工会議所の中小企業相談所山ア所長と株式会社CSの逸見代表に、具体的な経営革新の取組について実体験に基づきご講演いただきました。17日は「地域産業振興プロデュ−サー」をテーマに、島根県海士町の山内町長から海士町の経営指針についてご講演いただきました。今回は、企業訪問、講演を通じて得た学びについて、受講生のレポートを紹介します。

〈受講生レポート〉

1.株式会社 菊池製作所 訪問

株式会社 菊池製作所
取締役 乙川 直驕@氏

 企業訪問では、株式会社菊池製作所の事業計画・方針を元に、これまでの取組や自社の強みを得るに至る経緯やそういった中から見えてきた今後の課題等ついて説明いただきました。

【受講者1】

○印象に残った点とその理由  

 印象に残ったのは、工場見学や企業訪問時に「経営革新」という視点で見たことである。なぜなら、今までそういった視点は全くなかったからだ。  
 今回の企業訪問は経営革新への理解を深めるために行われた。経営革新とは、企業の目標を達成するために課題解決のための事業計画を立て、それを実践していくことだ。  
 乙川取締役の講演では、自社の強み、それを得るまでに至った経緯、これから目指していく姿、課題が語られた。  
 (株)菊池製作所は当初、板金加工を行う下請け企業であった。金型製作、プラスチック加工など、様々な技は大学との連携により、ドローンの製造を行うなど、自社製品を持つまでに至っている。こういった、下請け企業からメーカーに至るまでの変遷(自社製品の製造販売、製品の受託製造を実施できるようになるまで)は、正に経営革新の好事例であった。  
 今までであれば同じ講演を聴いても産学連携に積極的な会社だなという印象しか持てなかっただろう。しかし、新たに「経営革新」という視点で整理することで、試作から量産までカバーした時期が一つ目の経営革新、そして、大学との連携を始めた時期が二つ目の経営革新であること、また、これらの経営革新は自然とそうなったわけではなく、経営課題として求めたから達成されたものだということも理解できた。  
 「経営革新」という新たな視点を持つことで、企業の動きを整理する指標を持つことができた。  

○今後の活かし方  

 私は業務上、企業訪問や工場見学を行う機会がある。これまでは、どのような会社なのかを把握することに注目してきた。何をどのくらい作っているのか、企業の特徴は何か、どのような設備があるのか、業界動向を主に聞いていた。これからは、「経営革新」を視点に、企業の目標は何か、そのための課題は、今取り組んでいることにも注目する。そうすることで、より深い企業訪問時の質問ができる。  
 訪問先の企業は忙しい時間を割いて受けているのである。相手にも何かしらのメリットがないと無駄な時間になってしまう。補助金情報や、企業訪問から得た同業者の動向といった、相手の役に立つ情報も提供できるような訪問を心がける。  
 情報収集の必要性は理解しながらも、あまりその活用の場面がイメージできなかった。訪問相手に有益だと思ってもらうには、多くの情報の引き出しが必要になる。改めて情報収集の重要性を認識した。

【受講者2】

○印象に残った点とその理由  

 乙川取締役の講演で印象に残った点は2点である。1点目は、試作品の注文は断らず、試作にはお金を考えないという言葉だ((株)菊池製作所のポリシーとして、いただいた注文は可能な限り対応、常に新しいことへチャレンジする姿勢をもっている。試作については、開発期間が最優先され、時間は利益を生み出すという考え方のもと、コストは二の次になるケースがある)。私は2年前まで小売業に従事していたため、企業は利益を考えながら、製作を行うものだと思っていた。そのような考えを根底から崩されたため、この言葉は衝撃だった。2点目は、試作品はアイデアだけでは作れない、協力会社の連携があって行えているという言葉だ。試着したマッスルスーツをはじめ、お客様が抱える悩みを解決するために、様々な連携を経て行う試作は技術だけでなく信頼がないとできないからだ。  
 工場見学で印象に残った点も2点ある。1点目は、技術者の異動がある点だ。乙川取締役の話では、忙しい工場があれば生産状況を見て、福島県の工場への異動もあるとのことだった。従業員それぞれが各工場を行き来できる技術力があるからできることだ。2点目は、マッスルスーツを試着できたことだ。試着した感想は、物を持ち上げるとき、腰のサポートだけを行ってくれるので非常に楽だった。腕にはしっかり重さを感じ、自分のタイミングで動作ができるので、人が相手ならば大切に扱うことができる。私も祖父が倒れたときに、一人では起こすことができなかったことがある。そんなときにこのスーツがあれば便利だ。

○今後の活かし方  

 今回、株式会社菊池製作所で体験したマッスルスーツのように自治体や大学と連携することで、将来人の生活が便利になる商品ができる例を体験できた。所属課では産学連携を行っており、大学、高等学校、研究機関に研究費を補助する事業がある。実際にはどのような連携を行っているのか、どのような商品が開発されているのか確認し、区内外に広めていく。

草加商工会議所
事務局長 山ア 修 氏
株式会社 CS
代表取締役 辺見 貞治 氏

2.経営革新的な発送を育成する講義

 本講義では、美容部門を主とした様々な業態の経営を行う株式会社CS辺見代表取締役より指導・支援を受ける立場から、草加市商工会議所山ア事務局長より支援する側から、双方の立場からの経営革新についてご講義いただきました。

【受講者1】

○印象に残った点とその理由

(1)概要                  

 山ア氏の講演では、中小企業と支援の現状、経営革新への誘導と提案の仕方、支援事業 の紹介があった。逸見氏の講演では、株式会社CSの事業の説明と経営革新の取組、将来の夢などに触れた。対談では、逸見氏が商工会議所に創業の相談に来たエピソード、10年間にわたる支援の経過と逸見氏の経営の特徴、美容業界と事前課題(創業・経営革新支援)の解説があった。

(2)印象に残った点とその理由

 講演で最も印象に残ったのは、山ア氏の相談者に徹底して寄り添う支援のあり方であった。経営支援者は経営相談者の業界に素人であることもあるし、必ずしも自分で企業を経営した経験が豊富にあるというわけでもない。その弱点をいかに克服して支援するかという点で良い手本だったからだ。

○今後の活かし方  

 山ア氏が相談者のために徹底して努力する姿を見て、経営者に実現性が高く、かつ経営者一人では思いつかなかった提案をするためには、相当なやる気と興味、勉強、行動の積み重ねが重要だと理解した。そうした積み重ね無しに良い経営支援をすることはできないと考え、今後の自分の仕事でも丁寧に実行する。

【受講者2】

○印象に残った点とその理由  

 山ア氏の「コンサルティングではなくカウンセリング」という言葉、逸見氏の「経営者になるまでは時間がかかる」という言葉が印象に残った。 「経営革新を行う」という言葉には、どこか力の上下関係が含まれているように聞こえる。力が足りない経営者を助けてあげる、というニュアンスだ。山ア氏は我々に間違った意味で経営革新を捉えさせないため「コンサルティングではなくカウンセリング」という言葉を使ったように感じた。偉くも強くもない、知恵があり頼れるパートナーとなる。経営革新を行っていく中でとても大切になる立ち位置だからこそ、山ア氏の言葉は強く響いた。  
 また、逸見氏の「経営者になるまでには時間がかかる」という言葉にも、含蓄があった。創業当初は誰でも経営初心者だ。逸見氏には悪戦苦闘を繰り返す中で「経営とはこういうことか」と腑に落ちた瞬間があったはずだ。経営者にとって勉強や努力をすることは必要不可欠だ。ただそれだけでは足りない。努力しながら、しかるべき「時間と経験」を経なければたどり着けない境地があることを感じさせる、貴重な言葉だ。

○今後の活かし方

 私は支援する側の者として、経営者にも段階があることを意識し、行動・発言に反映していく。

3.自治体を経営する

海士町 町長 山内 道雄氏 

〜離島に人が集まる秘密とは〜

本講義では、山内町長に農水産品を活用した産業創出を行い 町の再生に至った経緯や今後の展望についてお話しいただきま した。さらに人が集まるプロジェクトをはじめ、現在海士町で 行っているさまざまな取り組みについてご教示いただきました。

【受講者1】

○印象に残った点とその理由

1.印象に残った点

 講演で印象に残った点は、海士町は若者・よそ者・馬鹿者が島興しの原動力になっているということだ。行政の力だけで島の課題を解決しているのではなく、新たな発想を持っている比較的定住歴の短い住民と行政が協働して、まちづくり全体を担っている。

2. その理由

 地域力とは、行政だけでなく、区民一人ひとりの力を源として、自治会、NPOなど様々な主体が持っている力、それを相互および区との連携・協働によって生まれる力を含んだものである。多様な地域の課題を行政と連携・協働して解決し、魅力ある地域を創造していくためには、この地域力を創生していくことが重要であり海士町から学ぶことは大変多い。海士町ではIターンやUターンの若者が地域起業に挑戦をし、結果的に島の魅力発信に繋がっている。海士町は、やる気のある若者、仕事を作り出す若者には全力で力を貸すサポート体制が整っている。この体制や風土が、海士町に若者を引き寄せる理由なのだろう。

○今後の活かし方  

 山内町長の講演を契機に海士町での具体的な地域力創生の取り組みを知るべく2007年の海士町総合振興計画策定に尽力したstudio-Lの山崎亮代表著の『コミュニティデザイン』(学芸出版社)を拝読した。まちづくりの担い手を、行政だけでなくIターン者、Uターン者、地元継続居住者のなかで育てようと、山崎代表は、総合計画を住民参加で策定することを山内町長に提言し、了承を得る。実はIターン者、Uターン者、地元継続居住者との間でコミュニケーションが取れていないという問題があった、総合計画を住民協働で策定する中で、お互いの壁を取り払うことができたという。また、自分たちでできることは自分たちでやり、行政に頼まなければできないことを明確化したことで、住民にまちづくりの担い手としての意識が向上したそうだ。山内町長は「人を変えるのは困難だ。しかし自分が変化することはできる。」とおっしゃっていた。本講座の今後の活かし方としては、学んだ事例を施策に落とし込んで検証作業することが、自らの成長につながると確信している。

【受講生2】

○印象に残った点とその理由

1.印象に残った点

 (1)住民の意識変化をもたらすための身を削る改革
  (2)一番良くないのは、失敗を恐れ何もしない事
  (3)町の外からくる人間が新しい風を生み出す

2. 理由

 (1)講演の中で、「町長が変われば職員が変わる。職員が変われば役場が変わる。役場が変われば住民が変わる」とあった。これは、実際に行動し結果となって返ってきている海士町長が言うことで本当に深い言葉となる。トップが甘い蜜を吸うことなく、地域の将来のために投資するという姿勢は多くの行政が目指すべき姿である。
 (2)行動には、何かしらのリスクが伴うものである。何もせず変化しないことで、ある程度の安定は保たれる。しかし、成長することはできないであろう。強気に推し進めていくリーダーシップを持つ人間がいることで変化は生まれてくる。
 (3)大企業経験者が自らの力を試したいということで、海士町に移住し、企業している現状の説明があった。ここに至るには、海士町の魅力を発信する必要がある。海士のブランドを築き上げ、産業振興策として地域資源を活用したモノづくり運動や商品開発を進めたことで若者の定住に繋がった。人口の規模が異なる地域での産業振興にも大いに生かすことができると感じた。

○今後の活かし方

 少子高齢化が進行し、財政の危機など、近い将来に地方が抱えるであろう問題に直面している海士町の山内氏の講演は、楽観して聞ける話ではなかった。ハンデをアドバンテージに、ピンチをチャンスととらえ、問題解決に向けチャレンジしていく精神は日常の業務の中でも常に心掛ける。私自身も一職員として、志の高い人材として見られるよう努力していく。

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