平成27年度地域産業振興講座(第2回)開催概要

地域経済部 地域振興課

日時 平成27年6月10日(水)13:30〜18:00
場所 電気通信大学 創立80周年記念会館リサージュ3F
内容 テーマ 地域分析の手法 
〜「地域経済構造分析モデル」を使って〜
講師 電気通信大学 特任教授   竹内 利明 氏 
テーマ 地域産業振興の重要性と担当者に必要なコミュニケーションスキル・グループワークスキル
講師 ブレークスルーパートナーズ株式会社         
マネージングディレクター 赤羽 雄二

1. 地域分析の手法 〜「地域経済構造分析モデル」を使って〜

(一財)日本立地センター
加藤 讓氏

(1)地域分析を行う前に

 地域分析を行う前に自然科学と社会科学の違いについて理解してもらいたい。自然科学は実験などにより再現することが可能なのに対し、社会科学は法や国家、政治、経済等を対象とすることから、実験による結果の再現が不可能であり、ここに自然科学との大きな違いがある。
 地域分析は社会を対象としていることから、社会科学の範疇にあり、結果に関する実験や予測が困難である。そのため分析結果が真実を明らかにしているとは言い切れない。しかし地域経済を発展させるためには、地域経済を分析し、地域の課題解決へ繋がる処方箋を手に入れることが必要である。ただし、複雑な社 会をそのままの形でとらえ分析することは非常に困難である。そのため地域経済分析においては地域をモデル化し、分析可能な形に置き換える必要がある。
 具体的には、まずは社会を調査することでデータを収集し、得られたデータを統計としてまとめる必要がある。次に、得られた統計を分析し仮説が正しいかどうか検証作業を繰り返し行う必要があり、この行程を踏むことにより初めて地域の課題解決に繋がる有益な情報が得られる。  
 しかし、これらの作業を行っていく過程で、判断を誤る要因(見せかけの相関や中央値と平均値、平均と標準偏差、相関と因果関係等)があることに留意する必要があり、それらを理解し注意深く分析・検証を繰り返さなければ、正しい結果へはたどり着けない。また仮説自体が間違っている可能性もあることから、分析・検証は、一度仮説を裏付ける結果が得られたとしても、繰り返し行うことが重要である。  
 地域経済を分析するための明確な基準となり得るデータとしては、地域統計が第一に挙げられる。地域統計は客観的であることから、正しい結果を導き出すために非常に有用であり、また、分析結果に基づき取組を進める地域関係者に対し説得力を持ち得る。また地域統計は読み解くことにより地域の特性や強みの発見ができ、他地域との差別化を検討するのに有効であるとの一面も兼ね備えている。しかし、そのような有用に見える統計データにおいても、データ発表のタイムラグや個人情報という秘匿の問題・データの範囲などによる限界があることを理解した上で活用すべきである。

(2)地域経済構造分析モデルとは

 地域経済構造分析モデルは、人口減少社会の中で人と地域の関わりを分析するにあたり、「ライフサイクル」を人生の大きな節目である5つの段階(@「人の誕生(少子化支援)」、A「人の成長(学習支援)」、B「社会に出る(雇用状況)」、C「家庭を持つ(生活支援)」、D「死亡(高齢者福祉支援)」)に分けて分析を行うことを根幹としている。
 実際の分析に際しては、自治体が政策的に提供するサービスに関連するデータ(地域の保育所や待機児童の数、医療機関や医師の数など)と民間事業者の経済活動に関連するデータ(製造業の出荷額や従業員の所得額など)を活用することになる。
 これらのデータを組み合わせ、検証し、導き出した結果の全国比較を行うことで、5つのライフサイクル毎に現状における地域の課題を抽出する。更に、結果と政策の関係や人口構造を中心とした分析の視点に加え総合評価を行うことにより、市町村における人と地域の総合的な関わりを示すことができる。

(3) 地域分析事例(資料1)

 A市においては高齢化と過疎化が進み毎年人口が減り続けている。分析によれば、主力産業である製造業や観光業などの低迷による課税所得の低下が高い未婚率の原因となり、これが少子化に拍車をかけ、結果として高齢化・過疎化を招いていると考えられる。
 このような中、社会人口は2005年よりプラスに転換し、コーホート分析(5歳ごとの同年代の行動分析)からはファミリー層が流入していることが見てとれる。これはA市における定住促進施策が一定の成果を上げているためと推察されるが、人口減少の根本的な解決には至っていない。
 A市は少子化対策自体は積極的に行っているものの、前述のとおり、少子化の主な要因は、所得の伸び悩みを主な原因とする極めて高い未婚率にあると考えられることから、このような結婚できない現状を打破するため、A市では今後、婚活支援やしごとづくりも含めた生活環境づくり等をパッケージ化した支援が有効、との結論を、本地域経済分析から導くことができる。

資料

   

2.地域産業振興の重要性と担当者に必要なコミュニケーションスキル・
  グループワークスキル

 
ブレークスルーパートナーズ(株)
http://www.b-t-partners.com
赤羽 雄二氏

(1) メモ書きにいたった私自身の経歴

 東京大学工学部を卒業後、コマツにて建設用の超大型 ダンプトラックの設計に携わっていた。その後スタン フォード大学大学院へ留学。コマツへ戻ってから一年 後マッキンゼーへ入社。経営戦略、組織設計、マーケ ティング、新規事業等の立ち上げ等に携わってきた。 その頃から膨大な情報の整理を行うに当たりメモ書き を始める(後の著書「ゼロ秒思考」の原点)。その後シ リコンバレーのベンチャーキャピタルを経て2002 年にブレークスルーパートナーズを設立し、現在に至る。

(2) 地域産業振興に必要な問題把握・解決力の強化  

 「問題把握と解決力」は、問題を発見する感度やアンテナの高さ、質問しながら問題点を掘り下げ一気に本質を見抜く探求心と洞察力、情報の引き出しの多さ、短期間に解決策を立案するスピード感と決断力、決定した事を断固として実行する強い意志と実行力、そしてリーダーシップなどからなる。  
 問題把握・解決力について、たいていの人が、問題を把握・解決「できる人」と「できない人」がいると思っているが、必ずしも正しくない。今日ご説明する内容に加え、「好奇心を持って人の話を聞く」こと、「何でもすぐ実施する」ことなどを心がけることにより、誰でも、どんな人でも、かなりの程度まで問題把握・解決力を強化できる。

 (3) 誰でも、頭が短期間によくなる「ゼロ秒思考」のA4メモ書き・フレームワークの活用・ホワイトボードの活用

 問題把握・解決力を伸ばす上で、メモ書きやフレームワーク・ホワイトボードを活用することが有効である。A4サイズの紙にメモを書く狙いは、頭に浮かんだ事を全てメモに書き留める事により、思考が整理されるほか、物事を言語化する能力が向上する点にある。 具体的には、思いついたことや疑問点など頭に浮かんだことをタイトルとして、1分から1分15秒程度で、1行20〜25字、4行から6行を書き留める。
 A4メモ書き以外には、物事を明確に整理する「フレームワーク作成」や「ホワイトボードの活用」がある。フレームワークとは、2x2の枠組みに事案を整理する手法で、多様な課題に応じて最適な枠組みを考え、整理する。事案が二つ以上存在する時はフレームワークを活用して整理するとよい。縦軸と横軸を決める必要があるが、その事案に関してもっとも重要な2軸で切り分ける。例えば、仕事の優先順位であれば、「緊急度」と「重要性」などになる。
 ホワイトボードは、会議・ミーティングを効果的・効率的に進める上で有効だ。ただし、一般的に見られるように書記に書かせるのではなく、その会議で一番知見のあるリーダーがホワイトボードへ書く方がよい。
 これにより、リーダーは、イニシアティブを握りながら議題を先に進めることができ、また、論点がすれ違った時にも、うまく論点のギャップを整理し、討議を円滑に進めることができる。その他にも効果的な使い方にあたっての工夫が色々あるので、プロジェクト全員でトレーニングを行い、ホワイトボードの使い方に慣れることが望ましい。

 以上、日常の中で実践し鍛えることにより、ほとんどの仕事は数倍速く、また情報力も何倍も強化することが可能で、企画書等がスピーディーにまとめ上げられるようになっていく。
 産業振興に携わる支援担当者にとって問題把握・解決力は重要な要素であり、これらの能力を鍛えることによって、企業からの相談や質問の本質を掴み取り、それらの問題をスピーディーに解決へ導くことが可能となる。つまり、産業振興の成果を左右する。ぜひ本日学んだ事を実践してもらいたい。質問は、いつでも akaba@b-t-partners.com の方に送っていただけたらすぐお答えしている。

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