平成26年度地域産業振興講座第4回開催概要   

総務企画部企画課

日 時 平成26年7月17日(木)15:15〜16:35
場 所 中小企業大学校東京校2号館1階 2102教室
テーマ 「受講生自治体のデータを参照しながら地域経済調査の手法と分析手法を解説する」
講 師 一般財団法人 日本立地センター 立地総合研究所 
関東地域政策研究センター 主任研究員 加藤 讓 氏

 

1.地域経済構造分析モデルの分析例について

一般財団法人 日本立地センター 立地総合研究所 関東地域政策研究センター 主任研究員 加藤 讓 氏
一般財団法人 日本立地センター
立地総合研究所 
関東地域政策研究センター  
主任研究員 加藤 讓 氏

 各自治体では、地域経済において何らかの課題を抱えていると思われる。これら課題を解決に導くためには、まず地域がどのような状況にあるか客観的に見ることが必要である。統計データの分析の長所としてあげられるのは、まず、客観的で正確性の高い分析ができることである。統計データの分析を行うことで思い込みが排除され、場合によっては間違えが明らかになるなど非常に客観性が高い。それまで通説とされてきたものに誤りがあることを発見することもある。また、実際に実態調査を行えば人手がかかり多くの労力を要するが、統計データを扱う場合はすでにデータとしてできているので、これを利用することで多くの労力をかけずに一定水準以上の調査を行うことができる。さらには、他の市町村が自分の地域と比べてどうか、あるいは国全体の位置づけとしてどうなのかなどが同時に分析できる。
 一方で、統計は市町村全体の構造を示しているだけなので、新しい動きがあっても数字として表れるのは、かなり後になるという短所がある。現時点の調査状況をすぐに知ることができないため、直近の状況がわからないという点も短所である。実際に数字として表れた時には、世の中の状況が既に変わっていることもある。新たな動きが、補足しづらいのである。  
 さらに、国や都道府県のデータに比べると市区町村のデータは非常に制約がある。特に町村になると取得できないデータが多いなど多くの制約があり補足しづらい。
 また、統計データは分析方法や見せ方によっては、いろいろな解釈が可能になるなど恣意的な運用が入り込む余地がある点も統計データによる分析の制約を示している。そして、直接データを分析したからといって他の実態的な調査をしないと地域の解決策が直ちにわかるかものではない点もあげられる。統計データの分析によって、ある程度の実態はわかるが、解決をそこから得る事は難しい。因果関係が、統計データだけではわからないからである。有力な証拠によって仮説を立てるにはよいが、それだけでは信じられないということである。

2.地域経済構造分析モデルについて

 地域経済構造分析モデルは公表されているデータを元に作成している。人口増大や安定的な輸出等、昔ながらの成長拡大がどの地域でも難しくなる中で、地域経済において各市町村で今後共持続的に発展していくためにはどのようにしたらよいか考えてみると発展に向けた実現の鍵の一つは人であると考えられる。以上のことから、モデルにおける具体的なコンセプトは、人であり、人に着目して分析を行っている。データ上できる範囲で、人の人的資本の形成であるとか蓄積に着目し分析をしている。
 分析方法は人の一生(ライフサイクル)を5つの過程で区切ることで分析している。
 ・人の誕生(少子化支援)
 ・人の成長(学習支援)
 ・社会に出る(雇用状況)
 ・家庭を持つ(生活支援)
 ・死亡(高齢者福祉支援)
 まずは人の誕生の過程に対して、政策的にどのような支援が行われているか、統計データと少子化の関係性を考えながらまず見る。次に子供が誕生し大きくなって行く上で教育課程に入っていくが、人の成長していく段階に対してどのように支援(学習支援)が行われているかという所を見る。さらに教育課程が修了し、社会に出て行く過程での雇用状況を見ていく。この支援の部分についてはデータ上関係性を見ることが難しいが、雇用状況としてどのようになっているかがわかる。また、次の生活環境が変化する過程では雇用されて、結婚したり家庭を持ったり人により生活環境が変わっていく中での支援状況を見ることができる。最後に高齢期になり労働市場からリタイアしていく過程での状況などを見ることができる。これらのことを、「結果」、「政策関連データ」、「民間関連データ」などで全国順位を求め、市町村それぞれについてデータを作成して5つのライフサイクルに区切った。これにより、少子化支援では、どのような状況でどのような支援が行われているのかなどを区切って見ることで人の流れや支援の状況を明らかにすることができた。

3.地域経済構造分析モデルの分析例

 実際にデータを見て分析をするが、あくまで分析はさまざまな考え方があるため答えは一つではない。人によって考え方が違うように正解を探すものではないので自由に考えて欲しい。
 (配付資料「A市」参照)A市は、人口は増加しているが伸び率が低下しており、社会増減(人の出入り)の水準は依然としてプラスとなっている。つまり、A市に人が流入している状態であり、人が入ってきて人口増加を支えている。ただし、男女別に比率を見ると女性が多く、社会増減の伸びは女性が支えていることがわかる。それから、5歳別人口コーポート分析については、例えば5年前の0-5歳が、5年後の5−9歳になった時に人口がどれほど変わっているかというものを分析したものである。自然増減については新生児の数から高齢者でなくなった方の数を引いた数字。これが多くなるといくら人口流入が大きくても全体ではマイナスになる可能性が大きくなる。昼夜間人口と社会人口増減の関係についてみると、全体としてA市は人口流入が多く、働く場を持つ都市ではあるが、人という観点から見ると、集めた人による合計特殊出生率は極めて低く、子育て支援もあまり活発に行っていない。
 失業率が極めて高いが女性を中心に社会人口は流入をつづけている。これはなぜかという仮説をたてると、社会的な問題ではあるが、女性は教育課程を修了しても親元で就業するケースが比較的多いが、男性は東京などの大都市へ流出してしまいその結果として、A市は女性の流入が多い都市になっていることが考えられる。
 A市の地域経済構造モデルとしては、現状ではさまざまな地域から流入があるが、一人暮らしの高齢者も多いので今後の生活や都市としての持続性が懸念される。A市は今までは外部自治体に依存し人を集めることで成長を続けてきた。これからの人口減少社会を念頭に置いて考えると成長のあり方を少し切り替えなければならない。もしくは、折角入ってきた人口を外に出さない様に(例えば、大学でA市に来た方を外に出さない工夫や支援をし、雇用の支援をするなど自分のところで何とか価値を生んで人を育てていくようなモデルの転換が求められることがわかる。
 

地域経済構造分析モデル(分析例)
地域経済構造分析モデル(分析例)

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