平成26年度地域産業振興講座第3回開催概要   

総務企画部企画課

日 時 平成26年6月25日(水)10:10〜11:30
場 所 東京ファッションタウンビル(TFTビル)会議室
テーマ 「展示会の見方、歩き方」
講 師 リードエグジビション ジャパン株式会社
  取締役 第五事業本部長 岡部 憲士 氏

 

1.企業紹介

リードエグジビション ジャパン株式会社取締役 第五事業本部長岡部 憲士 氏
リードエグジビション ジャパン株式会社
取締役 第五事業本部長
岡部 憲士 氏

 当社、「リードエグジビション ジャパン」は、国際見本市を主催する日本最大の会社である。
 主催とはアイデアを出し、作り上げ、世界中から企業を集め開催をするという存在であり、当社の主な事業である。当社は、1986年に設立した。当時は国際見本市というと業界団体や新聞社など、公的な立場の方が見本市を主催することが一般的であった。そのような状況の中、当社は、民間企業でありながら見本市の主催事業に参入した。
 設立時は、年間5本の産業分野で見本市を主催していたが、毎年新しい見本市を立ち上げ、昨年は94本、今年は110本の見本市を主催するまでに至っている。中でも、今年度は、新たに16の産業分野で見本市を立ち上げ、様々な分野で見本市を開催させていただいている。

2.展示会の見方・歩き方について

講義風景
講義風景

 (※本講演の後、受講生は日本ものづくりワールド2014の展示会見学を実施)
 今回、この展示場を回るにあたり、自治体、政府の立場から2つの観点をもって見てもらいたい。
・展示会は、地域・国を発展させる手段である。
・展示会は、地元企業を発展させる、潤わせる手段である。
 「地方経済の活性化は、見本市都市の実現であるということ」が、世界中の常識であり、昨今では日本でもうたわれはじめている。それには、展示会が生み出す巨大なメリットをまず、認識することが必要である。


(1)地域・国を発展させる手段としての展示会
 今、世界中の都市が展示会場を作って大規模な展示会を開催させるということを都市戦略にしている。決して大都市ばかりではない。例えば、ドイツでは、地方都市フランクフルトが世界戦略、都市戦略として世界最大の展示会を開催している。また、カジノ・エンターテイメントで有名なラスベガス(ネバダ州)は、人口が少なく、産業もない都市にも関わらず、アメリカ最大の見本市都市となっている。ネバダ州やラスベガス市は戦略的に大規模な展示会場を作り上げ、そこで様々な見本市を開催することにより巨大な利益を地元は享受している。
 東京ビックサイトは、日本最大の展示会場である。しかしながら、世界の展示場の規模における、ランキングでは、71番目であり規模は小さい。先進国の中で10万平米を超える展示会場がないのは日本だけである。日本の展示会ビジネス、展示会行政は世界的に見て遅れており、東京ビックサイトをはじめ東京近郊の主要な展示会場が、すべて予約で埋まっているため、新規の展示会が立ち上げられない状況である。その結果、世界中のオーガナイザーは日本で展示会が開催できないのであればと、いうことで他国での開催を進めてしまっている。展示会開催の利点として、開催国に 「人・モノ・金・情報」が集中する。展示会の誘致競争に参加出来ない時点で、日本は多くの国益を損うこととなる。
 また、海外の市長選の公約には展示会場の増設、あるいは展示会の誘致を掲げていることが多い点も指摘させて頂く。

(2)地元企業を発展させる、潤わせる手段としての展示会場

日本ものづくりワールド2014第18回機械要素技術展
日本ものづくりワールド2014
第18回機械要素技術展

 展示会を回る際の1つ目の観点として、世界中で地方を活性化させる大きな切り札となるのが展示会であるという点である。
 なぜ世界中が巨大展示会場の建設に力を入れるのか。それは、この展示会の経済効果を、毎年利益享受できるという大きな特徴があるからである。また、展示会場の建設は自治体にとって投資効率としても非常に良い。
 一般的に10万平米の会場を作る際、上物だけでだいたい180億円かかると言われている。しかし、展示会を1本行うことにより約50億円の経済効果が見込まれることもわかっている。年間にすると何百億円が、経済効果として見込まれることとなる。しかも、展示会場の運営だけで儲けようと世界中の自治体は思っていない。会場の運営は赤字であっても影響はない。なぜなら、展示会の開催は経済の基本インフラが生まれることにより地元に巨大な経済効果をもたらすからである。道路や空港があることで経済を活性化させることと同様に、展示会場をつくることにより経済を活性化させることができる。
 展示会開催による直接経済効果(展示会開催期間中に成立した商談金額や展示会開催後に成立した商談金額を除いて)は、約50億円が見込まれる。具体的には、会場費、装飾費、人件費、宿泊費、食費、交通費が消費される。人件費についてはアルバイトスタッフや清掃スタッフ、さらには会場設営の大工も延べ2,000人動員しており、展示会開催にはこれらの金額が巨大な経済効果として開催した地元に落ちている。さらに、海外からの来日客は、これらに加えて観光や買い物をすることで巨大な経済効果がある。例えばこのような展示会を自治体主体で年間10本おこなった場合、直接効果だけで地元は500億円もの経済効果を得ることとなる。 
 ちなみに、日本ものづくりワールド展示会開催中の商談金額は3日間でおよそ350億円。その後年間で2,000〜3,000億円に発展していく事が見込まれており、非常に大きな商売の場になっている。
 これら経済効果により、地元を潤わせる側面があるということである。

3.展示会立国にむけてついに動き出した日本

 日本展示会協会(展示会産業に携わる企業が加盟している業界団体)は、会員数が倍増しており、各企業が展示会産業の今後の展望に期待をしている状況である。先般、「日本再興戦略」改訂2014が発表されたが、その中で「展示会場の新設・拡張の促進を行う」と明記された。アベノミクス第3の矢に加わることにより相当、国としても力を入れている事業であることがわかる。

4.商談の場としての展示会

 世界では、展示会場は商売の場であり、企業人がしのぎを削る真剣な場である。商売のため、真剣に世界中から出展し、来場することが世界ではスタンダードである。
 しかし、日本はそのような側面が少なく、業界団体が集まりお祭りのような状態であった。さらに展示会場の数が少なく規模も小さかった。
 当社主催の展示会では、企業アピールのみの展示はしないでほしい、また、出展者が商談会に対し真剣であれば来場者も相応であって欲しいと言うことを繰り返し言ってきた結果、巨大な商談展になってきた。これにより、当社が出展する展示会はすべて真剣な商談の場と考えとなり、それが評価をされ今、各産業分野でナンバーワンの展示会になっている。

5.活発化する自治体の展示会活用

 展示会は自治体にとって、地元中小企業が出展することにより地元産業のPRの場となる。優れた技術はあるが、営業まで人を抱えられない中小企業にとって、展示会は普段営業できないような大手企業との商談ができ大きな成果を得る場でもある。また、企業誘致を目的として展示会で地元工業団地をPRし商談を行うことで成果を得た自治体もある。開催当初の自治体数から急拡大している理由は、このような成果に気付いた自治体が増えてきているということである。

6.展示会の出展方法と成果

(1)自治体が中小企業の展示会出展を支援するメリット
  @中小企業の発展に貢献する。(出展を決めた企業は新規取引先を獲得できる。)
  A展示会は、最先端の技術が集積することにより競争原理の働く場となる。(中小企業の刺激になる。)
  B地域産業の振興を図る(市内の優れた技術を持つ企業を厳選してずっと出展させることで「ものづくり
    の集積地」がものづくり業界でブランド化される。これにより、優れたものづくり企業が集積している地域
    であると、業界で知れ渡ることとなる。)
  C地域経済の活性化を図る。(出展をすることで、新規受注が増えることにより、直接出展している企業
    だけではなく、地元企業にも仕事が波及し活性化する。)
  D企業誘致による地元企業の発展(企業が、新しい研究施設を作る場合、ものづくり業界で技術の集積
   地となっている地域が、ブランド化されていることにより候補となる。技術の集積地に新設することでシナ
   ジーが出ることも重要なメリットである。)  

(2)自治体による展示会活用事例
  @自治体の担当者がホームページやチラシのなどで出展企業募集の周知。(市内の企業に広く周知)
  A「展示会合同出展企業募集について」という公文書を自治体長名で地元企業に配布。(自治体長名の
   公文書により行政へ信頼が増す)
  B当社の企業個別訪問
   応募のあった相応の技術力がある意欲的な中小企業をピックアップして当社の展示会担当が展示会
    出展のメリットを個別に説明する。各社の情報を共有しながら出展企業を絞り込む。
   C「出展者展示会活用セミナー」を開催
   出展企業の代表者と共に自治体の担当者もセミナーに参加し、展示会の活用方法と成果を上げるた
    めのノウハウを当社より説明する。
   D展示会開催により結果としてもたらされたもの
     ・新規受注を獲得して販路を拡大することに成功した。
     ・テレビ局を始めメディアに自治体をPRすることができた。
     ・ものづくり地域としてのブランド化を推進することができた。
     ・中小企業による「新規販路開拓研究会」が発足した
     ・展示会に向けて中小企業は新製品を開発するようになった。
     ・展示会で近隣地域のものづくり企業を知ることで競争原理が働く。展示会出展により、出展企業が攻
     めの姿勢に変わり「戦う中小企業」となった。

(3)展示会活用セミナーの開催主旨
 ただ出展するだけでは、成果は上がらない。そこで、当社では、出展自治体と出展企業に徹底した出展者啓発を行っている。そして、出展する限りにおいては成果を得なくてはならないため、競争に打ち勝つための徹底した準備が重要である。当社における準備とは、商談をして、お客様を獲得し、商売をするために行っていただきたい活動のことをいう。
 今回の「機械要素技術展」では、出展企業1000社の関係者と自治体担当者が集まって展示会を活用するためのセミナーを行った。セミナーでは、出展までの準備と出展者の方々に行っていただきたい活動を以下の様に説明した。
 @出展により達成したい目標を提示する。
 A必ず、座って商談をすること。
 B時間指定のアポイトメントを取ること。
 Cくまなく招待券を送付すること。
 Dより多くの商談を行うための環境作りを行う。
 E終了後は、当初目標をどのくらい達成できたかフィードバックし、次年度の出展に活かす。
 これらの活動は 展示会出展の一番シンプルな部分で有り、肝の部分である。今まで日本の展示会が発展してこなかった理由は、これらの活動を徹底していなかったからである。しかし、当社は出展者に対し結果を出してほしいため、これらの活動を実践するようにお願いしている。

 最後に、展示会の見学にあたり、展示会における自治体に与える非常に大きな経済効果や各企業に大きな利益を与えているということを踏まえて、各企業の真剣に商談している場を見ていただきたい。

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