企業情報

浮いているけど、くっついている 〜そんな「ありえない」を実現〜
                         株式会社タンケンシールセーコウ

地域経済部 地域振興課

 物体をふわっと浮かしたまま、ぴたっと離れないようにする、そんな装置をご存じですか?給気圧力と吸引圧力、この相反する性質を圧力の調整で、そんな「不思議」を実現した会社が株式会社タンケンシールセーコウ(東京都大田区)です。装置の名称は「ノンコンタクトチャッキング」、今回は本製品の特長、開発経緯等について同社に伺ってまいりました。

   
ノンコンタクトチャッキング。
目に見えない微細な穴がたくさん開いてます。
ノンコンタクトチャッキングの概要図

【ノンコンタクトチャッキングの概要】

 株式会社タンケンシールセーコウが開発した「ノンコンタクトチャッキング」は、主に半導体用シリコンウェーハや液晶ディスプレイ用薄板ガラス基板の搬送の際に、ワーク(対象物)のチャッキング(把持)のために使われています。しかし、ただのチャッキングではありません。製品名のとおり、ワークに対して「非接触」でチャッキングする製品です。非接触での搬送により、ワークにチャック痕や傷が付かず、歩留まりがよくなる等のメリットがあります。では、非接触でチャッキングする原理はどうなっているのでしょうか。

【浮上把持の原理】

 本製品は、ポーラスカーボンと呼ばれる多孔性の材料からできています。さらに、気孔は内部で複雑に連通しています。この材料特性を活かし、気孔からワーク面に均一なエアーを送りワークを浮上させます。しかし、これだけではまだワークは不安定な状態です。そこで、機械加工で開けた穴から吸引することにより、ワークを安定化。動かしたり、ひっくり返してもワークが本製品から落ちることはありません。一見すると簡単な仕組みですが、本製品の開発にはスタッフの方々の並々ならぬ努力がありました。

【浮上ワークの精密平面の実現】

 ノンコンタクトチャッキングが搬送するワークは、簡単に割れや傷が入りやすく、どのように動かしてもチャッキングを維持することが求められます。さらに、浮上中のワークにコーティング等の加工が行われるため、精密平面を実現することが求められていました。そこで同社は、大学からの協力を得つつ、ワークの浮上把持および精密平面を維持するうえでのキモとなる、流体膜の研究をスタート。流体膜とは給気した際にワークとチャックの間に発生する空気の膜ですが、その流体膜が強固であれば、吸引した際にワークがチャック表面に接触することなく、浮いたままの状態でワークの把持が可能となります。しかし、流体膜の場所によってその強固さが異なると、ワークは精密平面を維持できません。流体膜の圧力を均一化するためには、母材のポーラスカーボンの給気孔が表面に均一に分布し、さらに均一な孔径である必要があります。その開発のため、同社は独自に母材のポーラスカーボンの元となる粉の作り込みから、カーボンの成形条件、最適な給気圧と吸引圧の算出等、様々な試行錯誤を行いました。そして、ついに約2年半の研究の末、この課題を乗り越えました。

【今後の更なる発展】

 同社は元々メカニカルシールの製造を行っていました。メカニカルシールの用途はそれが使用される場面で内容物の流出を防ぐための部品であり、その母材となるカーボンは絶対に穴があってはならないものです。しかし同社は創業50年の節目に、カーボンの素材としての可能性を新たに探るため、従来の研究とは真逆の多孔質カーボンの研究をスタートするという、非常にチャレンジングな会社です。その結果これまでに、この新たな素材の研究成果を活かした「エアベアリング」や「精密吸着盤」が開発されてきました。そして、多孔質カーボンを利用したノンコンタクトチャッキングという画期的な製品が開発され、創業60周年の節目である2015年には、「第27回中小企業優秀新技術・新製品賞」において中小企業庁長官賞を、「大田区中小企業新製品・新技術コンクール」において最優秀賞を受賞しています。
 次はどんな驚きを市場に与えてくれるのでしょうか。今後が益々楽しみな素晴らしい発想と技術力を持った企業です。

 
ノンコンタクトチャッキング開発メンバーの皆さま

株式会社タンケンシールセーコウ
◇住所 東京都大田区矢口3丁目14番15号
◇代表者名 代表取締役 山内祐二
◇資本金 1億円
◇設立 1955年
◇URL http://tankenseal-pcp.com/pcp1/

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