企業情報

専業医療機器メーカーの考える医工連携とは            

地域経済部 次世代産業課


 「株式会社フジタ医科器械」という会社をご存じでしょうか。
 専業医療機器メーカーの集積する東京都文京区本郷に社屋を構え、創立は1972年、従業員は79名、医療現場で使われる鉗子に代表される鋼製小物の製造を生業としています。
 最近、医工連携について、メディアで掲載されるたびに、この「フジタ医科器械」の名前が繰り返し報じられるようになりました。
 今回は、フジタ医科器械の企業紹介と合わせて、そのフジタ医科器械を中心に新たな盛り上がりを見せ始めた「“第2次”医工連携」についてもご紹介いたします。

■これまでの医工連携

 これまでの医工連携といえば、地方自治体などが中心となり、地域の医療機関の臨床現場で生じた医療機器の開発ニーズなどを、当該地域のものづくり企業が優れた技術力を生かして開発・具現化することを指し、“医”と“工”という産業を跨いだ連携による、新しい産業の形を推進する取り組みが各地域で活発に行われてきました。
 この場合、プレイヤーは地域の医療機関と地域のものづくり企業の2者であることが多かったのですが、医療機器はその特殊性から法律による規制も多く、良い試作品ができても、医療機器として販売するためには、許可はもちろん、多くのノウハウが必要でした。
 このノウハウを有していたのが、今回ご紹介のフジタ医科器械をはじめとする専業医療機器メーカーでしたが、その多くが本郷地域を中心とした東京都内に集積しており、地域との付き合いはまだまだ希薄なものでした。

■本郷展示会と医療機器・ものづくり商談会への参加

 こういった状況を打破し、専業医療機器メーカーが地域ものづくり企業と連携する「“第2次”医工連携」のきっかけになったのが、地方自治体等が主催し、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズが後援する「本郷展示会」と、当局が主催する「医療機器・ものづくり商談会」です。
 本郷展示会は地域の自治体が中心となり、その地域に立地する優れたものづくり企業の技術シーズを、本郷地域の会場で専業医療機器メーカー向けに紹介し、各専業医療機器メーカーが自らの欲するシーズを探す“シーズ探索型”のイベントです。これまでに多くの自治体が、この展示会を開催し、実際に数多くのビジネスが生まれました。
 一方、当局の実施する「医療機器・ものづくり商談会」は、専業医療機器メーカーの有する医療機器の開発・改良ニーズを、関東局を通じて全国の自治体・産業支援機関に提示し、自治体等の推薦を受けたものづくり企業が専業医療機器メーカーと商談を行う“ニーズ提示型”の形をとっています。
 両イベントとも、これまでの医工連携では参画していなかった専業医療機器メーカーをその仕組みに取り込んだことで、事業化までのスピードは各段とあがり、多くの成果事例を生み出すことができました。フジタ医科器械は両イベントに定期的に参加し、多くの商談を実施してきました。
 フジタ医科器械は主製品である脳神経外科手術用鋼製小物について、1,400を超える品目を有しているのですが、その多くが昔ながらの匠の職人技により製造されてきたものであり、高齢化等による職人不足に伴い、その製造方法の見直しに迫られています。そのため、地域のものづくり企業の有する高い加工技術と出会うことのできる両イベントの強みをしっかりと認識し、自社の経営戦略として活かそうと努めてきました。
 実際にあった事例として、フジタ医科器械がある製品の開発のために3年間探していた必要な技術について、「医療機器・ものづくり商談会」の場でニーズとして提示したところ、たった3日間の商談でその技術を見つけることができたということもありました。

■MINCの会への参加

  「本郷展示会」や「医療機器・ものづくり商談会」に加え、フジタ医科器械はさらなる事業の拡大のため、これまでの専門領域とは異なる分野への進出も模索しています。
 それが、前述した一般社団法人日本医工ものづくりコモンズが主催する「MINCの会」への参加です。MINCの会は、国立国際医療研究センターが有する国内・海外の医療機器開発ニーズを日本のものづくり企業につなぐ取り組みで、その第1弾として、スマートフォンなどの多機能端末を利用して患者の状態をモニターする機器や診断補助端末機器の開発が進んでおり、その開発をフジタ医科器械が手がけています。
 海外の現状やニーズなどについては、情報が断片的なものしか入手できない等、企業として正確な判断が難しいことが多いのですが、MINCの会では、国立国際医療研究センターからの情報提供を受けることができ、さらに需要や将来性などについても様々な知見を元に検証する体制が整っているため、フジタ医科器械も新しい分野への進出を決断できたといえます。
 当該機器の上市までは、まだしばらく時間がかかりますが、フジタ医科器械には全国のものづくり企業とのネットワークがありますので、生じた課題については全国のものづくり企業との連携の元、解消していけるのではないかと考えております。

■前多社長インタビュー

フジタ医科器械 前多社長に、前多社長の考える医工連携と、今後の要望について伺いました。

 

○フジタ医科器械前多社長の考える医工連携について
 「自分たちが専業医療機器メーカーとして、医工連携に参加するときに鍵となるのは“市場化の有無”だと考えています。学会や臨床現場との距離を密接に保つことで、市場化の有無について判断を迅速に行う。それがはっきりとしないものには手を出さないし、その市場に適切なアプローチをするために、必要なものづくり企業様と連携を深めたいと常に思っています。
 さらに、自分たちとしても、この医工連携の仕組みに参加したことで、医療機器メーカーとしてのチャレンジが可能になったと考えています。例えば製造する医療機器も、それまでの※クラスT、U中心から、高度なクラスVも手がけるようになるなど、医工連携の場を通じて、新たなステージを目指すことができるようになりました。
 展示会や商談会は仕組みがしっかり構築されているので、最短距離で次のステージを目指すことができ、今後も十分活用させて頂きたいと思っています。」

○今後の要望について
 「展示会でも商談会でも、マッチングはあくまでもスタートであり、その後、共同での 機器開発や対外機関による評価があり、上市という流れになります。そのロードマップをものづくり企業様としっかりと共有することが重要だと思いますし、自分たちもものづくり企業様とは一蓮托生だと思って事業を進めているので、そういうマインドを持つ企業が多く参画してもらえると良いと思います。」

 

※クラスT、U、V…医療機器は、人体に与えるリスクの程度によってT〜Wまでクラスを分類しており、この分類によって規制を変える仕組みが取り入れられています。クラスの数値が大きくなればなるほど、体への影響は大きくなります。例えば、鋼製小物はクラスTですが、体内に入れるインプラント(人工骨)はクラスVです。



商談に望む前多社長(中央)

主力製品の鋼製小物 
アリゲーター鉗子(上)
マイクロ剪刃(下)

 

  

株式会社フジタ医科器械
◇住所 東京都文京区本郷3丁目6番1号 
◇代表者名 代表取締役社長 前多 宏信
◇設立 昭和47年2月9日
◇資本金 7千9百万円 
◇従業員 79名 
◇業務内容 医療機器の製造及び販売
◇URL http://www.fujitaika.co.jp/

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