企業情報

強アルカリイオン水で従来の機械加工の根底を変える
   〜山田マシンツール株式会社〜

地域経済部 新規事業課


 切削や研削などの機械加工で使用される切削油として強アルカリイオン水を扱う新たな加工液供給システムが開発されました。このシステムを開発した山田マシンツール株式会社(東京都台東区)に開発のきっかけ、製品の特徴、さらに今後の展望について伺いました。

【全ては取引先との何気ない会話がきっかけ】

  強アルカリイオン水を機械加工液に活用
 強アルカリイオン水を機械加工液に活用

 同社は、昭和22年1月の創業以来、刻印機・マーキング機器の製造販売を生業として発展してきました。また、工作機械・各種工具の販売も手がけており、取引先企業には自動車部品メーカーや電機メーカーなどの大手企業が多く、ドイツ等からのハイエンドな輸入工具も取扱うことで提案力の幅を広げています。
 創業以来、技術を提供する現場主義の機械メーカーとして顧客ニーズの深掘りに努めてきた同社では、ものづくり企業が抱える各種課題をよく理解していました。そんな同社が今般開発した機械加工における新たな加工液供給システム(製品名:アルクール)は、取引先企業との何気ない会話を端緒とし、開発がスタートしたものです。洗車機や洗浄機等の製造販売を営む日伸精機株式会社(東京都墨田区)の営業マンが「強アルカリイオン水で洗浄すると微生物が繁殖しにくく、防錆・防腐効果が飛躍的に高まる」と言ったことを気づきに、強アルカリイオン水を機械加工液に活用するという、これまでにはない斬新なアイデアが生まれることになったのです。

【アルクールとは?ビジネスアイデアを企業連携で具現化】

 ものづくりの現場では、一般的に工作機械を使って部品や製品が作られています。切削や研削などの機械加工では、品質や効率などの加工条件を高めるために切削油が使用されており、工具と被削材との間に発生する摩擦を抑制し、冷却する役割を担うことで必要不可欠なものとされてきました。これまでの切削油は油性と水溶性に大別され、それぞれ長所と短所を併せ持っており、いわゆる万能な特性を持つ切削油が存在しないことから、現場では加工内容や材料、扱う機械設備によって工夫して使い分けています。
 かつてこの切削油には油性が多く用いられましたが、発火の危険性や作業場が油まみれになるなどの問題があり、現在は水溶性が多く用いられる傾向にあります。しかしながら、油性のデメリットの多くは解決する一方で、錆びやすく腐りやすい、また潤滑性に劣るため工具寿命が短くなるなどの問題を抱えています。
 今般、同社が開発した「アルクール」は、それぞれの強みを持ち寄った3社が連携することで、従来の水溶性切削油の課題を解決することが可能となりました。日伸精機株式会社が製造する装置で生成された強アルカリイオン水(pH12.5)を用いることで冷却・浸透性が極めて高く、また電解の媒体としてカリウムを用いるため高い防錆・防腐効果が得られます。また、もう1社の(株)日本フルードシステム(兵庫県西宮市)が開発した添加剤を加えることで、潤滑性がより一層増大します。さらに「アルクール」を活用した最適な加工方法を顧客と一緒になって現場で作り込むプロセスは、同社の強みが最も活かされる場面です。
 「アルクール」を開発し、販路開拓に取り組む事業計画は、平成24年2月に関東経済産業局より「新連携事業」として認定を受けました。

強アルカリイオン水生成装置の外観 アルクールの概念図
 
強アルカリイオン水生成装置の外観  アルクールの概念図  

 「アルクール」の最大の特徴は、切削油として用いる強アルカリイオン水が、錆びず、腐らないことから、消耗品(添加剤、フィルター)交換を定期的に実施するだけで、半永久的に使用可能であることです。また、従来の水溶性加工液に比して潤滑性が格段に増すことが刃具の摩耗低減に大きく寄与し、工具寿命がおよそ20〜30%長持ちする効果が得られます 。さらには、冷却・浸透性が極めて高いことから、より高速な加工にも対応可能となり、加工効率・生産性がおよそ30%向上するという驚異的な事例も出ています。これらの優れた効果については、大学及び公的試験センターによる実証実験や顧客ユーザーによるフィールドテストなどを通じて高く評価されています。
※効果の数値については、実験等を通じて確認されたデータに基づきますが、加工内容や各種条件等により変動します。

【海外展開の取組と今後の展望】

  社長の山田雅英氏
 社長の山田雅英氏

  「アルクール」は、これまで国内の大手企業をはじめ中堅・中小企業においても導入が進み、国内売上の累計は1億7千万円を超えます。一方、海外では、同社の海外現地法人の拠点があるタイでの販売に力を入れており、好調に売上げが伸びています。「アルクール」は、一式で300万円を超えるため、買い手企業では役員決裁となることが多いですが、日本の海外現地法人であれば現地の判断で導入いただけるケースが多く、購買の意志決定が非常にスピーディであるため、必然的に営業にも力が入ります。  

 今後は、国内及びタイにおける展示会出展等の取組を通じて製品の知名度を向上させるとともに、導入企業の評価をシステム開発へフィードバックすることで更なる改善を図るなど、品質の向上と更なる拡販に向けた取組をより一層推進していきます。
 「国から法律の認定を受けた」、「第三者によるお墨付き」という客観的事実が、会社の信頼性や取組の透明性、さらに、企業イメージの向上に大きく寄与したといいます。「“何でも出来ます、やれます”では駄目。顧客のニーズを精緻に把握した上で、自社で出来ること・出来ないこと、あるいはメリット・デメリットをしっかりと伝えることで顧客と真摯に向き合う姿勢が重要」と山田社長は言います。
 顧客との信頼関係の醸成を第一に、顧客ニーズに徹底的に応え続ける同社の今後の展開に期待しています。

山田マシンツール株式会社
◇住所 東京都台東区台東1−23−6(本社)   
◇代表者名 代表取締役社長 山田 雅英
◇設立 昭和22年1月
◇従業員 45人
◇業務内容 刻印機の製造販売、工作機械・各種工具の販売、輸入工具・装置の販売
◇URL http://www.yamada-mt.co.jp/    

●関連施策
新連携支援
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chusho/sinrenkei/index_sinrenkei.html

 

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