企業情報

「女性のホンネをカタチにする企業 〜キューオーエル株式会社〜」            

地域経済部 次世代産業課


 長野県上田市に位置する信州大学繊維学部。豊かな自然に囲まれた同学キャンパス内にFii(ファイバーイノベーション・インキュベーター)と名付けられたインキュベーション施設がある。今回は同施設に拠点を構え、女性の社会進出に貢献する企業、キューオーエル株式会社を率いる宮島社長にお話しを伺いました。

■まずは、宮島社長がキューオーエル株式会社を設立したきっかけを教えてください。

 キューオーエル(株)宮島社長
キューオーエル株式会社宮島社長

 私がキューオーエル株式会社を設立したのは、女性ならではのある「悩み」を解決したいという思いからです。実はキューオーエル株式会社を設立する前も、株式会社エイネットというソフトウェアの検証やテクニカルサポートを主に行うITサービス会社を経営していました。その会社は女性の割合が非常に高い会社であったのですが、多くの従業員がその「悩み」を抱えていました。
 皆さん「基礎体温」と聞くと何を思い浮かべますか。一般的には子どもが欲しい女性が測るものというイメージを持たれているのではないでしょうか。もちろんそのような目的で測る人が大半を占めていますが、最近は自分の体調管理のために測る人も増えてきています。なぜかというと女性の月経周期が体に与える影響は大きく、ひどいときには仕事に支障をきたすほどです。いわゆる月経痛や月経前症候群と言われるものです。これこそが私の解決したかった「悩み」なのです。
 現在でも「基礎体温」を測る方法としては、婦人体温計を用いた口中計測が一般的です。しかしこの方法は、毎朝10分間体温計を口にくわえる必要があり、多くの女性は「基礎体温」の重要性を知りながらも、毎日測ることはしていないのが現状なのです。
 そこで、「夜眠っている間に基礎体温を測ることができれば」というアイディアを実現するために設立したのが、現在のキューオーエル株式会社です。会社設立後6年にも及ぶ開発期間を経て、2008年に「Ran’s Night」を開発することに成功しました。

■「Ran’s Night」とはどういった製品なのでしょうか。

「Ran’s Night」
 「Ran’s Night」

 使い方はいたってシンプルです。パジャマのウエスト部分に挟んで寝るだけで、朝起きるとその日の「衣服内温度」が計測されています。「基礎体温」でないのか、と思ったのではないでしょうか。そもそも「基礎体温」とは筋肉運動や飲食物の摂取など体温上昇の要因を除いた際の体温のことです。つまり眠っているときの腹部の温度というのは「基礎体温」に類似する値を示し、継続的に測ることで「身体のリズム」を測ることができます。  
 実際に手に取ってもらえると分かるのですが、「Ran’s Night」には表と裏に2つのセンサーが付いています。これは腹部の温度を測るだけでなく、外気側の温度も測ることで、例えば寝返り・掛け布団の剥げ落ち・うつぶせ寝などが判定でき、計測環境が適切であったかどうかが分かります。また、2つのセンサーが10分毎に6時間継続して計測するため、様々な状況で計測がされた場合も、朝には最適な数値を表示することができます。  
 「Ran’s Night」はあくまでも「身体のリズム」を測る製品です。もちろん「Ran’s Night」を使うことだけで月経痛や月経前症候群の症状が緩和される訳ではありません。しかし「身体のリズム」を知ることで、健康意識が高まり、セルフケアも可能になります。
 女性の社会進出は進み、月経周期を始め、自分の健康状態を知りたいという女性は増えてきているように感じます。生理日・排卵日を伝えるシステムやアプリが流行ったのは、その表れではないでしょうか。単純な日付の予測だけではなく、より正しい自身の健康情報を得るため、ぜひ「Ran’s Night」を使っていただきたいです。

■現在に至るまで苦労したことはありましたか。

 この商品は、言わば日本中の女性をターゲットとした商品であり、当初の目標としてはかなり高いところに設定していました。しかし実際に売れたのは目標の5分の1ほど。やはり今までにない商品を販売するということで、様々な困難がありました。
 「Ran’s Night」は婦人用体温計と違い、医療機器として認められていません。そのため、薬局などで体温計と一緒の棚に置いてもらうことはできないのです。最初はそもそも取り扱ってくれるお店を探すのにも苦労しました。説明をする担当者の方は男性が多く、なかなか製品の必要性を理解してもらえませんでした。
 徐々に広がりを見せるようになったのは、産婦人科などに置いてもらうようになってからです。常に女性の「悩み」に接している産婦人科の医師は、すぐに製品に理解を示してくれましたし、多くの賛同の声もいただきました。
 また、会社全体で「Ran’s Night」を使い「身体のリズム」を測ることとした結果、企業体質の改善につながった事例もあります。私がかつて経営していたエイネット株式会社の従業員には開発初期からモニタリングの協力をいただいておりました。自分の「悩み」に向き合うことで、仕事のスケジュール管理が行いやすくなり、業務改善がなされました。また企業として、女性の働きやすい職場とするために、出産後も育児と両立ができるよう体制を整えた結果、多くの女性が仕事と子育てを両立させています。  
 決して多くの数が売れたわけではありません。しかし使った女性からは多くの反響をいただきました。そんな皆さんの声を聞くと、自分たちのやっている仕事が間違っていないのだと信じることができます。これからも多くの女性に「Ran’s Night」を知ってもらうために、努力を続けます。

■最後に今後の展望を教えてください。

キューオーエル(株)が運営する「Ran’s Story」
キューオーエル株式会社が運営する「Ran’s Story」

 現在、当社は女性の「基礎体温」を始めとした様々な健康データを用いて、女性の健康管理に資するソリューションの開発を進めています。  
 例えば、我が社が運営するサイトに「Ran’s Story」というコミュニティサイトがあります。このサイトは女性が自身のプロフィールを設定し、毎日の「基礎体温」、その日の体調などを記録してもらいます。長期間記録を続けることで、月経周期に関する様々なグラフを見ることができるほか、月経周期毎の自分の健康状態を把握することができます。またコミュニティサイトですので、ユーザー同士でお互いの情報交換もできます。  
 我が社は研究開発のため会社設立時から、多くの女性に「基礎体温」と体調を記録し続けてもらいました。中には何年間もの間、毎日欠かさずデータを記録していただいている女性もおり、そこで蓄積されたいわゆるビッグデータは我が社にとって大きな財産であります。このデータを活用して、女性にとって有意義なソリューションの開発ができないかと日々研究を続けています。  
 これからも女性の社会進出に少しでも貢献するサービスを提供し続ける企業でありたい、これがキューオーエル株式会社社員全員の思いです。

■ありがとうございました。

キューオーエル株式会社
◇住所 長野県上田市常田3−15−1 信州大学繊維学部内Fii604号室 
◇代表者名 代表取締役 宮島正子
◇設立 2002年10月01日
◇資本金 9,180万円 (資本準備金4,680万円) 
◇業務内容 •情報通信機器の企画、開発、販売
•情報処理システムの企画、開発、運営
•各種コンテンツの製作、販売
•出版物の企画、製作、販売
◇URL http://www.qol21.com/    

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