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「社会のために」+「ホスピタリティ」=幸和義肢研究所                    

産業部 製造産業課


 株式会社幸和義肢研究所は、昭和58年の創業以来、義肢装具・車いす・補聴器等福祉用品・介護用品などの研究開発・製作に取り組んでいるトータルサポート企業です。自己満足で製品をつくるのではなく、使用する人々が幸せになってもらえるよう従業員一同「使う人を思いやる気持ち」を持ってものづくりに取り組んでいます。お客様一人ひとりにあった義肢装具等を製作する高い技術力はもちろんのこと、現在では、その高いホスピタリティ精神も相まって、義肢装具製作所として関東でもトップクラスの売上を誇るようになりました。  
 今回は、その幸和義肢研究所を率い創業者でもある横張和壽社長と、横張巧副社長のお二人に話を伺いました。

■社屋について

エントランス
エントランス

 同社を訪れてまず驚くのは、まるで会社のようには見えない大きな平屋の社屋です。同社は、平成23年10月にこの社屋を建て移転しました。館内はオールバリアフリーとし、障がいを持つ方でも安心して来所することができるようになっています。駐車スペースも広くとり屋根を設けることで、車いすを使用して来所する方でも雨に濡れることはありません。また、入口をホテルのタクシープールのようにし、送迎の際に入口の目の前で乗降ができるよう配慮したそうです。  



車いす従業員用の作業台
車いす従業員用の作業台  



 建物の外には、小さな坂道や階段を設けた試歩行エリアも設けています。これにより、義肢や装具等をつくる過程で、様々な条件下でお客様自身に実際の歩き心地等を確認していただき、より身体に合ったものを提供することを可能としています。  
 また、この社屋はお客様だけではなく従業員にもやさしいつくりになっています。同社では現在、4名の障がいを持つ方を雇用しており、館内のオールバリアフリーに加え、車いすの従業員が作業をしやすいように電動で昇降する作業台を設けるなど、不自由なく働ける環境を整えています。  
 この社屋には、これまで様々な障がいをお持ちのお客様と真剣に向き合ってきた同社の経験が見てとれ、まさに「一人ひとりの身体に合わせた義肢装具等で、より快適な暮らしをできるように」という願いが込められた素晴らしいものになっています。





■幸和義肢研究所の大切に考えていること

 同社のものづくりは、お客様の身体の一部をつくることであり、精度の高いものをつくる技術力はもちろん、「使う人を思いやる気持ち」をとても大切にしています。お客様一人ひとりと向き合い、相手が求めていることを把握しそれに応えていくことのできる「ひとづくり」が重要と考えており、そのためには、従業員の一人ひとりが仕事へのやりがいを持ち、不満なく仕事のできる環境を整えていくことが必要であると考えています。
 創業当時の義肢製作業界は、企業のトップが会社の利益よりも自己の技術を磨くことに没頭してしまい、そこで働く従業員にとって労働時間面や給与面では決して満足度の高い職種とは言えなかったそうです。横張社長は、これではいけないと考え、労働時間管理や昇給制度等をきちんと制度化した会社とすることで従業員の満足度を高めることを意識していたそうです。こうした経営幹部の従業員に対する姿勢が、お客様に対する思いやりの気持ちへとつながっています。
  また、同社の考えるひとづくりは「人間力を高める」ことでもあります。従業員の成長のために、ノルマやプレッシャーを与えることはせず、お客様のために一生懸命に取り組んで、のびのびと失敗を恐れずに仕事ができる風土をつくっています。その中で、障がいを持つ方を含めて様々な人と関わることで、人として大切なことすなわち「ホスピタリティの精神」を学んでもらいたいと考えているそうです。同社では、会社の思いを従業員全員で共有しモチベーションを高めようという目的のもとで毎日の朝礼にも力を入れています。3年前にはじめたこの朝礼も現在では、茨城県倫理法人会主催の朝礼コンテストにおいて“優秀活力朝礼賞”と“活力朝礼奨励賞”を受賞するほどになっており、従業員間の円滑なコミュニケーションや人間力を高めることにつながっています。  

■TSUKUBA福祉機器展

社内にもユニークな展示があります
社内にもユニークな展示があります

 同社が主催するTSUKUBA福祉機器展は、昨年で7回目となった最先端の福祉機器を展示するイベントです。福祉機器展というと、東京ビッグサイトで行われる国際福祉機器展が有名ですが、地方の企業にとっては、平日開催ということやアクセスの都合上参加が難しいことがありました。そのような問題から、地元つくば市で自ら主催し、近隣の企業や住民の方に最新の福祉情報を提供できる機会を設けようと考え、このイベントを開催するようになったそうです。第6回からは、つくば市の後援も得られ、市内の小中学校でチラシを配布するなどの広報活動も行い、障がい者だけでなく小さな子どもからお年寄りまで幅広い方が来場するイベントになっています。同イベントでは福祉機器をただ展示するだけではない「魅せる福祉機器展示コーナー」を設け、重いイメージのある福祉機器を格好良く展示し、多くの人に義肢や装具が身体の一部であることを理解してもらう機会になればと考えています。


チャレくるダンスライブ
チャレくるダンスライブ 
    
      

 また、このイベントでは福祉機器の展示だけではなく、ワークショップや障がい者スポーツ体験なども行っています。その中のひとつである「チャレくる」というコーナーでは、車いす使用者によるダンスライブを行っています。これは、車いすに乗った子ども達の社会参加の機会をつくろうという目的で、全日本車椅子ダンス協会の協力を得て同社内でダンスレッスンを始めたことがきっかけとなり、せっかくなら様々な人に見てもらいたいというレッスン参加者の思いから実現したものです。ダンスライブを行った参加者は、地元のダンススクールの健常者の子どもたちともコラボレーションし、大きなダンス大会へもデモンストレーションとして参加しています。同社発信のイベントや取組は、社会のためにという考えとともに確実に広がりを見せています。

■就労支援やパラリンピックについて

ビジョンについて語る横張社長
ビジョンについて語る横張社長

 同社の掲げる理念は、常に「社会のために」、「誰かのために」なることです。これからの経営ビジョンについて伺ったことも、まさにその理念にあるとおり社会貢献についてのお話でした。
  横張社長は、現在の障がい者の就労状況について問題意識を抱えているそうです。特に、車いす等を使用する肢体不自由者は、知的障がい者等と比べて企業側がバリアフリー化しなければならない部分が多く、就労者として受け入れる際の課題となっています。そうした現状から、オールバリアフリーの社屋を持つ同社では積極的に肢体不自由者の雇用を進めています。
  現在進めるビジョンのひとつに、すべての障がい者の就労の機会を増やすことがあります。これまでに障がい者の方々と接してきた経験を取り入れ、同社の裏手に訓練者のことを考えて施設環境を整備した就労支援施設を建設し、障がい者でもより良いものをつくることのできる能力を身につけられる施設としたいそうです。そうすることで障がい者の方が手にする工賃も上げられることを目指しています。
  また、2020年の東京パラリンピックについても是非関わっていきたいとのことでした。その関わり方については、我々が想像するような競技用具・装具の提供者としてというよりも、同社がこれまで「福祉」に関わりお客様と向き合ってきた経験をもとに、競技環境の整備や競技者のサポートをして同じ目線で一緒に取り組めるようなことを考えているそうです。2019年に茨城国体とともに開催される全国障害者スポーツ大会に向け、まず身近な茨城県で障がい者スポーツを行える環境を整えることにより、その啓発と情報発信源となれればと考えているそうです。

■幸和義肢研究所は社会のために

 今回、同社を訪れて横張社長と横張副社長の二人にお話を伺い感じたことは、非常にあたたかい企業であるということです。
 義肢や装具等を使用されている方の中には、まるで現代的でないものやまったく身体に合っていないものを付けている方も多いそうです。義肢や装具というものはその人の身体の一部であり、合わないものを使用することで身体を傷付けたり生活に不自由が出たり、気持ちも沈みかねません。横張社長は常々、そのような人々の人生を変えるようなものをつくりたいと考えてきたそうです。横張副社長のお話では、社長はものすごくお客様との関わりが深い人で、ときには利益が出ないようなこともあったそうです。これについて横張社長が、「それでもそのようなお客様は前より必ず幸せになってくれる。そしていい表情になってくれて、夢を持ってくれることが嬉しいのだ。」と話してくださったことがとても印象的でした。

色や柄がかわいい義足もつくります
色や柄がかわいい義足もつくります

 こうした、お二人の「幸和義肢研究所は社会のために」という気持ちが従業員の一人ひとりに浸透し、ホスピタリティの高い企業になっているのだということを感じさせられました。利益を上げることのみを目指すのではなく、自らはもちろんすべての従業員が人間力を高められることを目指して日々の業務に取り組んでおり、それが結果的に幸和義肢研究所の成長につながっています。
  幸和義肢研究所はこれからも、社会福祉とホスピタリティの輪を広げながら、未来の日本の福祉を担う会社として「社会のために」、「誰かのために」進み続けます。



(参考)
 同社では、平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業(以下、サポイン事業)に「温間減圧バルジ成形による生体力学的適合性に優れた大腿義足ソケット作成技術の開発」をテーマにした研究開発が採択され、昨年の3月に研究開発を終了。(研究開発成果等報告書(中小企業庁HPより))
 現在、協力企業と連携し、実用化に向けて試作品を鋭意開発中。


株式会社幸和義肢研究所
◇住所 茨城県つくば市大白硲341-1   
◇代表者名 代表取締役 横張 和壽
◇設立 1983年(昭和58年)3月
◇従業員 58人(2014年12月現在)
◇業務内容 義手・義足・装具の製造及び販売、車いす・介護用品・リハビリ機器・補聴器等の販売、福祉用具レンタル・住宅改修
◇URL http://www.kowagishi.com/index.shtml    

●関連施策
戦略的基盤技術高度化支援事業
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/seizousangyou/sapoin/itakuhi.html

 

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