企業情報

地震災害によるマンホールの浮上を抑制
                     〜株式会社シーエスエンジニアズ〜

地域経済部 新規事業課


 地震が多い日本において、被災時のライフラインの復旧作業は急務となっており、復旧作業の遅れに伴う被災者の負担は計り知れないものがあります。そんな中、埼玉県にある株式会社シーエスエンジニアズは、画期的な工法を開発し、被災時における下水道機能の麻痺を未然に防いでいます。今回はその開発のきっかけや、工法の特徴、さらには普及方法についてご紹介します。

【新潟県中越沖地震をきっかけに工法開発に着手】

 同社は昭和62年11月に創業、下水道のほか上水道、道路、公園等、社会インフラの設計を中心とした総合建設コンサルタント業として発展してきました。
 下水道の設計を事業の柱としてきた同社は、平成16年に起きた新潟県中越沖地震において、大規模なマンホールの浮上被害を目の当たりにします。そもそもマンホール浮上の原因は、土壌の液状化であると言われており、新潟県中越沖地震以前の地震においても低地で液状化しやすい場所に限り、10数個程度の被害が確認されていました。しかし、新潟県中越沖地震においては、液状化が起こるはずが無いと言われていた山間部で発生し、数にして約1,400箇所もの膨大な数のマンホールが浮上しました。これにより、浮上したマンホールが緊急車両の通行を妨げるだけでなく、地中の配管が壊れ、流水機能までも失いました。  

  地震にて浮上したマンホール
 地震にて浮上したマンホール 

 なぜ、液状化するはずが無い山間部において、マンホールが浮上したのか。それは、一度掘り起こした原地盤にマンホールを設置後、埋め戻す工程における、埋戻し土の液状化が原因でした。 
 当時社長であった一場会長は、長く下水道設計 を生業としてきた者として罪の意識があったと 言います。社会的にもマンホール浮上防止対策に 関する研究の機運が高まる中、同社が開発した 新しい工法が、マンホール上部に帽子のつば状に 広がった重石をつけ、浮上を抑制するという新しい 工法でした。後日、社内公募でその工法の名前は 「ハットリング工法」と決まりました。

【産学官連携で実用化に前進】

 開発した工法を実用化しようと試行錯誤を繰り返しましたが、当初はなかなかうまくいきませんでした。そんな中、取引先信用金庫から「コラボ産学官」を紹介され、東京電機大学理工学部で実証実験を行うこととなりました。大学の研究室でのマンホール浮上抑制工法の実証実験は1ヶ月間続きましたが、当社が考案した「ハットリング工法の効果」が実験により実証されたことで、実用化に向けた一歩を踏み出すことができたのです。

【足りないものを他社連携で補完、効率的な連携体構築で全国展開】

 実用化に一定の目処が立った同社は、ハットリング工法を全国に広めるためには、効果的な連携体構築が一番と考え、部品製造を、コンクリートブロックの製造ノウハウを有する秩父コンクリート工業株式会社に、販売施工支援を、全国に営業網を有する大手土木建設会社であるライト工業株式会社に依頼。同社は工法の開発、特許取得に専念するというビジネスモデルを描きました。自分たちの不足している経営資源を補い、新しい工法の開発と普及に取り組んだ事業計画は、平成20年7月に関東経済産業局より「新連携事業」として認定を受けます。新連携事業における支援策の一つである特許申請料減免を活用し、ハットリング工法に伴う特許を4件取得した他、認定計画の取組で事業化が加速したことにより、「上下水道設計のシーエスエンジニアズ」から「耐震設計に強いシーエスエンジニアズ」という企業イメージの向上にも繋がったといいます。

ハットリング工法の仕組み ハットリング工法の施工風景
ハットリング工法の仕組み  ハットリング工法の施工風景  

【東日本大震災で効果が証明】

 ハットリング工法の利点はその施工方法の簡単さにあると言えます。小規模な地元業者でも簡単に施工することができ、またコンクリートの重石を取り付けるだけなので施工コストも安く済みます。さらに、新連携の取組によって全国展開も可能となったことで、千葉県松戸市をはじめ全国の自治体のマンホール施工を手がけました。中でも、特に地震への危機感が強かった東北地方での採用が多かったそうです。そんな中、平成23年に東日本大震災が発生し、液状化の被害があった地域でも、ハットリング工法によって施工されたマンホールは浮上抑制効果を発揮し、一つとして浮き上がらなかったそうです。

 加藤社長(向かって左)と一場会長(右)
 加藤社長(向かって左)と一場会長(右) 

 現在、新連携の3社を中心に「ハットリン グ工法協会」を設立しています。 全国のセメント工場や施工業者が40社程 参加しており、工法の改良に取り組みながら さらなる普及と進化を目指しています。
 一つのアイデアを具現化し、産学官連携及 び支援策の有効活用で、地震国日本の安全・ 安心に貢献している同社の今後の展開に大い に期待しています。

株式会社シーエスエンジニアズ
◇住所 埼玉県さいたま市南区根岸4丁目8番6号   
◇代表者名 代表取締役 加藤 道雄
◇設立 昭和62年11月2日
◇従業員 25人
◇業務内容 上下水道設計を始めとした総合建設コンサルタント業 
◇URL http://www.cseng.co.jp/    

●関連施策
新連携支援
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chusho/sinrenkei/index_sinrenkei.html

 

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