企業情報

引き継がれる伝統技術とそこから生まれる新たな製品
                                                 〜株式会社宮坂製糸所〜

地域経済部 地域振興課


 かつて日本の産業を支えた製糸業の一大産地として栄えていた諏訪・岡谷地域。時代が移り変わり、製糸業から精密機械工業へと移っていく中、現在、岡谷市にて唯一稼働する製糸工場が「株式会社宮坂製糸所」です。昭和3年(1928年)に創業してから、80年以上経過する中で、伝統的な技術による生糸を作り続けながら、時代に沿って求められている新たな生糸の生産に取り組んでいます。

 

【伝統の技術による生糸の生産】

 現在、国内にて稼働する製糸工場は4ヶ所のみです。その中の一つとして、株式会社宮坂製糸所は岡谷市内にて生糸の生産を行っています。  
  そもそも製糸は、農家より仕入れた繭を100℃近い熱湯で煮て、繭から糸を出し、それを数本合わせて1本の生糸にしていくものをいいます。
  このように数本の繭糸を1本に抱本し、生糸にすることを繰糸といい、宮坂製糸所では様々な繰糸機を使い、生糸を生産しています。

  稼働する繰糸機について、まず紹介されたのは「諏訪式繰糸機」と「上州式繰糸機」であり、これらを用いて手作業による伝統的な繰糸方法によって生糸が生産されています。それぞれルーツや手法が異なりますが、どちらも適度なむらがあり、諏訪式繰糸機については柔らかい風合いの生糸、上州式繰糸機については玉糸(2頭の蚕から作られた玉繭を投入した節のある生糸)など素朴さのある生糸を作ります。当時の手作業による技術がそのまま引き継がれており、特に繭の補充方法については熟練した技術が必要となります。  

諏訪式繰糸機 上州式繰糸機
諏訪式繰糸機 上州式繰糸機  
  自動繰糸機
自動繰糸機 

  この伝統的な手法のうち、生産性の高い諏訪式繰糸機から発展したものが「自動繰糸機」です。それまで手作業にて行われていた繭の補充は、昭和30年頃、旧蚕糸試験場が民間企業と共同開発した「繊度感知器」と呼ばれる生糸の太さを検知し、規定の太さより細くなった時点で繭を自動的に補充するという画期的な機構により自動化され、生産性が格段に向上しました。
  自動繰糸機は、むらの少ない、均一な太さのきれいな生糸を作ることができます。通常は大型の自動繰糸機を使い、1種類の生糸を大量生産しますが、宮坂製糸所では小型の自動繰糸機を複数扱い、様々な種類の生糸に対応できるよう多品種小ロットによる受注生産を行っています。

【新たな取組について】

 上記の伝統的な繰糸方法によるものばかりなく、一度に300粒以上の繭を使い世界一太い生糸を生産する「太繊度低張力繰糸機」、世界一細い生糸を生産する「極細生糸繰糸機」があります。宮坂製糸所はこれらの技術と繰糸機を活用し、卸業者、機織り業者、絹製品の工房、作家等の要望や目的に応えた様々な生糸を生産しています。  
 現在、宮坂製糸所では世界一細い生糸によるスカーフの開発、オーダーメイドによる特殊なシルク素材の生産、生糸のバリエーションを増やす等、新たな事業を進めており、先に述べた取引先へ高付加価値のある自社製品を提供し、市場拡大を図っていこうと取り組んでおります。平成26年2月には、この取組が、各都道府県の指定する地域産業資源を活用した新たな商品・サービスの開発や需要の開拓を図る「地域産業資源活用事業計画」として、経済産業省及び農林水産省から認定されました。
 また、生糸だけでなく、生糸の成分が配合された「シルクソープ」を開発し、平成24年より発売しています。泡立ちが良く肌に優しいことから、順調に売上を伸ばしています。

【岡谷蚕糸博物館への移転】

 かつて岡谷市は、イタリア・フランスから製糸の技術を取り入れ、創意工夫を重ね「シルク岡谷」として、世界にその名が知られる生糸の一大生産地となりました。これらの先人の偉業を後世に伝えていくため、昭和39年に「市立岡谷蚕糸博物館」が開館し、繰糸機の展示や製糸関連の文献・史料を収蔵しました。そして、それから50年が経過した平成26年8月には、施設の充実を図り、岡谷蚕糸博物館がリニューアルオープンしました。それに伴い、宮坂製糸所は博物館の一画に移転し、動態展示を行いながら生糸の生産を行っています。
 移転してくるまでは、工場に一般の方が来ることは、あまりありませんでしたが、現在は博物館への来館者に見てもらえるようになり、身近に製糸業を感じてもらえるようになりました。また、自社の生糸を使った製品が博物館で販売されており、今までの製造業としての機能の他、観光的な機能を持つことができました。この岡谷蚕糸博物館のリニューアルによって、販路の拡大につながり、今までの決まったお客さん以外の受注も増えてきています。

リニューアルオープンした岡谷蚕糸博物館 岡谷蚕糸博物館内に展示されている繰糸機
リニューアルオープンした岡谷蚕糸博物館  岡谷蚕糸博物館内に展示されている繰糸機  

【これからの方向性について】

 宮坂社長(左)と高橋専務(右)
 宮坂社長(左)と高橋専務(右) 

 現在、生糸の生産は中国やブラジル等、海外が中心で、99%の絹製品は外国製であり、日本製は1%にも満たない状況です。また養蚕農家の減少により繭の確保が困難となっております。このような状況の中、宮坂製糸所は、地元JAとの連携による繭の確保、岡谷蚕糸博物館との連携による情報発信等に努めております。また、今後においては、生糸づくりだけでなく、地域内での一貫生産を行うため、自社ブランドによる絹製品の開発・販売にも取り組んでいきます。
 伝統の技術を守りながら、新たな取組に向けて動いている宮坂製糸所の今後に期待していくと共に当局としてもこれらの取組を積極的に支援していきます。

株式会社宮坂製糸所
◇住所 長野県岡谷市郷田1-4-8   
◇代表者名 宮坂 照彦
◇設立 昭和3年(1928年)12月
◇従業員 12人
◇業務内容 生糸製造業
◇URL http://www.msilkpro.com/    

●関連施策
地域産業資源活用事業計画
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chikishigen/data/3-25-220miyasakaseishijyo.pdf

 

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