企業情報

「圧倒的地域ナンバーワンの会社の実現」
   〜鍛造に新たな付加価値を〜             タンレイ工業株式会社

産業部 製造産業課


 「鍛えて造る」という名のとおり、熱した金属に圧力を加えることで加工を行う「鍛造」。そのシンプルな作業性から、古くは日本刀や農具の刃物の製造から、現在は自動車や航空機の部品の製造に至るまで様々な場面で用いられ、文明の発展に重要な役割を担ってきた。
 このように歴史ある加工技術「鍛造」に、新たな付加価値を求め続け、事業を拡大させてきた鍛造企業がある。今回は、新潟県新発田市に本社工場を構えるタンレイ工業株式会社を訪問し、高橋社長にお話を伺うとともに、実際の製造工程を見学させていただいた。

○タンレイ工業を支える強み

金属をリング状に成形する圧延工程の様子
金属をリング状に成形する圧延工程の様子 

 同社が最も得意とするのは「リング鍛造」と呼ばれる鍛造法だ。リング鍛造とはその名のとおり、所定の重量の金属の塊(丸棒)をリング状に加工する鍛造法のことで、歪みのないリング形状に加工を行うため、高い技術と精度が求められる。同社はその製造法を武器に、自動車産業をはじめとする多種多様な産業機械のベアリングの製造をメインに行っており、内径80mm〜200mmに対する国内の市場占有率は70%に達している。
 この圧倒的な市場占有率を誇る要因は、多様な受注に応えることのできるその技術力の高さはもちろんだが、同社の強みはそれだけではない。
 同社の強みとして第一に挙げられるのは、高機能化された一貫生産だ。鍛造のみでなく、その後の熱処理、切削加工、研削、そしてときには組立までを一貫して受注し、高精度・短納期・低コストを可能とする体制により競争力を高めている。

 今回お話を伺った高橋社長
今回お話を伺った高橋社長 

 さらに、40年以上鍛造業に携わっている高橋社長の「ただの鍛冶屋ではなく、企業的な体質を取り入れた鍛造企業に」という強い思いのもと、生産管理システムの導入により製品管理の高度化を図ってきた。生産管理システムでは、材料の入荷から製品の出荷までを一元的に管理し、生産量が増加した工場においてもコストを削減させることに成功した。また、顧客の商品が製造工程の中でどの段階にあり、何日後に製品として出荷されるのかがわかるようになっており、顧客満足度の向上にもつながっている。
 また、同社は計画的な人材育成にも非常に力を入れている。「やることはシンプルだが、人の技術の要素は非常に大きい」と語る高橋社長。社員は全員正社員として採用、技能試験の受験を積極的に奨励しており、現在では77名が資格取得者となっている。さらに、工場では社員が20分間ごとに別の作業を行うようになっており、様々な技能を身につけることができる環境が整っている。この社員一人一人の技術力、対応力の高さこそが、同社が生み出す付加価値の源となっている。
 このように、鍛造に新たな付加価値を求め続ける同社は、昨年度から更なる付加価値の付与に向けたチャレンジに取り組んでいる。  

○産官のタッグで取り組む新たな技術開発

 同社は昨年度、経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択され、公益財団法人新潟市産業振興財団、新潟県工業技術総合研究所と連携し、「リング鍛造」と「熱間フローフォーミング加工」を組み合わせた、新たな加工技術の開発に取り組んでいる。  
 この加工技術がターゲットとしているのは、半導体の製造に用いられるリング状の真空装置用の大型容器の加工である。この容器の素材には、加工硬化により扱いが非常に困難なステンレスSUS304が使用されており、従来は鍛造後に切削や溶接を組み合わせて製品を製作してきたものの、材料のロスが大きく高コストになることや製作時間が長いことなど様々な課題があった。  

 成形加工されていく様子(一番右側が完成品)
成形加工されていく様子(一番右側が完成品) 

 これに対し、今回の技術ではリング状の素材を同社が得意とするリング鍛造により径方向に、そしてフローフォーミング加工によって軸方向に加工することにより、従来の工法と比較して材料のロスを1/4以下、加工時間を1/2以内に抑えることが可能となる。これにより、低コスト・短納期化を実現するだけではなく、つなぎ目のない一体構造を実現した真空装置用の大型容器の製造が可能となるという。
 実際に製造工程を見学させていただいたところ、これが熱い。工程では、真っ赤に熱せられた金属の塊が、大きなプレス機により穴が空きリング状になる。その後、リング鍛造機に据え付けられ、徐々にリングが大きくなり成形されていく。さらに、熱間フローフォーミング加工用の機械に据え付けられた後、リング状の素材が回転しながらブレードに挟まれ、あっという間に形成されていった。
 同社にとっても新たなチャレンジとなるこの事業であるが、意外なところからこの連携事業は始まった。新発田市に本社工場を構える同社は、2011年に設備投資を行った結果、工場の敷地が新発田市と新潟市にまたがることとなった。その際、企業立地について新潟市との検討が始まったことがきっかけとなり、結果として新潟市産業振興財団との連携につながったそうだ。
 同社はこの新技術の開発に2009年から独自に取り組んできたものの、やはり単独での研究開発は困難も多く、試行錯誤の繰り返しで、なかなか前に進まなかった。しかし、本事業で新潟県工業技術総合研究所という新たな知見が加わったことにより、研究のスピードアップにつながっているという。

○「圧倒的地域ナンバーワンの会社の実現」に向けて

  同社の基本方針である「圧倒的地域ナンバーワンの会社の実現」に向けて、「今後も研究開発を含めたチャレンジを継続させていかなければならない」と語る高橋社長。新たな分野への進出だけでなく、海外展開についても視野に入れている。また、地域の産官協力により、新たな研究開発プロジェクトを行うなど、ネットワークを広げ、着実に新たなステージに歩みを進めている。
 現在、製造業を取り巻く環境は決して易しいものではない。その中でも、鍛造技術と同様、社長と従業員の熱い思いにより、高い鍛造技術とチャレンジ精神で道を切り拓いてきたタンレイ工業。今後どのような道を切り拓いていくのか、その活躍が注目される。  



タンレイ工業株式会社
◇住所 本社工場:新潟県新発田市佐々木2928番地1   
◇代表者名 代表取締役 橋十三夫
◇資本金 30百万円
◇業務内容 金属製品製造業  
◇URL http://www.tanray.co.jp/index.html    



●関連施策
  戦略的基盤技術高度化支援事業


 

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