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  「新しいみそ」から「新しい発酵食材」へ 
                                                        〜石山味噌醤油株式会社〜                       

産業部 製造産業課

 石山味噌醤油株式会社は、老舗ながら伝統にとらわれず、絶えず新しい商品を開発し続けるパイオニア企業です。同社は、2010年より国の戦略的基盤技術高度化支援事業を利用し、今までの「みそ」の常識を覆す、発酵醸造過程で塩を一切使わない「※無塩みそ」の開発を行いました。
(※)製造過程で塩を使わないものは「みそ」の定義からは外れますが、表記を簡略化するため、「無塩みそ」と表記しております。


伝統を守りながら開拓を続ける】

   同社は、明治39年新潟県新潟市に味噌・醤油製造会社として設立されました。明治30年代に建てられた味噌蔵は有形文化財に登録され、地元では有名な老舗として現在もたくさんの人に愛されています。明治設立という長い伝統を持つ企業でありながら、最近ではトマト味噌や塩麹など、多彩で独創的な商品を開発・提供し続ける開拓者でもあります。  
  そして今回は、今までの「みそ」の常識を覆すような商品、醸造過程で全く塩を使わずに味や風味を損なわない「無塩みそ」を開発、近々発売する予定となっています。  
  三年間の研究の末に完成させた「無塩みそ」について、研究開発を行った当時の苦労や、まもなく発売される商品第一号の事、そして今後の展開などについてお話しを伺いました。

 石山味噌醤油株式会社 月潟工場
石山味噌醤油株式会社 月潟工場 



【塩を使わないということ】

 味噌は本来、発酵醸造過程で必ず塩を使い、塩の効用によって余計な菌の増殖を防ぎ、味噌酵母だけを発酵させて造ります。よって塩を入れるという過程は味噌造りに無くてはならないものです。  
  しかし、塩の摂取制限のある病気を持つ人が、医師から塩分を含むみその摂取を控えるよう指導されるケースもあることが、味噌製造業者にとって悩みの種でした。また、料理人や学校給食の現場からは「塩分を含まず、塩気を好みに調整出来る味噌は、料理人にとって夢想の産物」「大豆や発酵食品の栄養を子どもに摂らせたいけれど、同時に塩分も摂取するので沢山使えない」などという声もありました。  
  無塩みそを造るきっかけは、このような人々の想いであると、開発に携わった同社課長の養田さんは話してくれました。  
  “塩を使わないということ”を実現させた今回のみそは、人々の期待を背負った全く新しい製品と言えるでしょう。  
  しかし三年間の研究が、全て順調であった訳ではありませんでした。

試行錯誤と産学官連携】

 戦略的基盤技術高度化支援事業は、「産学官」、つまり企業と大学或いは研究機関、そしてそれを仲介する産業支援機関などが連携していく事業です。今回の研究も、新潟市産業振興財団が事業管理機関となり、石山味噌醤油をはじめ、基礎研究をする研究機関や大学、商品化に向けた食味などの検証が出来る企業と共同体を作り、実施されました。  
  研究は主に、研究機関が実験室レベルで導き出した醸造条件を、石山味噌醤油の味噌製造工場で試していくという形で行われ、膨大な実験と失敗が繰り返されました。研究施設で出した条件を、環境の全く違う味噌工場で試しても、そう簡単に同じものが出来ることはなく、結果として、みその形になってきたのは、事業最後の年である三年目のことだったそうです。  
  研究を進める上では、研究に関わる方たちの様々な意見を摺り合わせ、集約する必要があります。今回、所属や立場の異なる研究者間の調整役を担ったのが、新潟市産業振興財団の生浦さんでした。生浦さんは、支援事業が終わった現在も、成果の事業化を目指し、同社の良きアドバイザーとして活躍されています。

 写真左 石山味噌醤油株式会社 養田さん  写真右 新潟市産業振興財団 生浦さん
写真左 石山味噌醤油株式会社 養田さん  写真右 新潟市産業振興財団 生浦さん 



「新しいみそ」から「新しい発酵食材」へ】

 今回の取材では、商品第一号も含め、試作段階の幾つかのサンプルを試食させて頂きました。食味は塩気を感じさせず、驚く程の風味を含んでいました。
  養田さんによれば、無塩醸造だと発酵が旺盛に進むので、その影響ではないかとの事です。今回「無塩醸造技術の開発」成功によって、味噌酵母のみではなく、様々な酵母や乳酸菌でみそを造ることが出来るようになり、商品として広がっていく可能性が大変感じられました。
 例えばあるサンプルは、麺などに混ぜると物性が向上し、味だけでなく麺自体のいわゆる「食感」が良くなる特性があるそうです。
 塩を使わずに造る事ができ、深い味わいと香りを手に入れた事から、新しく得られた特徴と様々な食味の種類に合わせ、使い方もどんどん広がる可能性を秘めています。今後の商品展開においては、なるべく「無塩みそ」の特徴を、新しい使い方と併せた形で、消費者に提供していく必要がある、との事でした。
 今回、この取材を通して、研究が色々な人の想いと共に進んでいく様子や、今、正にその研究が実を結び、商品が世に羽ばたいていく現場を見る事ができました。「無塩みそ」が「みそ」という概念を超え、「新しい発酵食材」として日本中の人に愛されることを願ってやみません。  

  サンプルMM10 今回発売されるもの MP20 パン酵母を利用して造られたもの サンプルMM50 極甘仕込み ML20 乳酸菌のみで造られたもの
         サンプルMM10 今回発売されるもの   MP20 パン酵母を利用して造られたもの
         サンプルMM50 極甘仕込み        ML20 乳酸菌のみで造られたもの
石山味噌醤油株式会社
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◇ 住所 新潟県新潟市南区西萱場478  
◇代表者名 代表取締役社長 石山 了治
◇設立年月日 明治39年
◇創立年月日 昭和25年1月31日
◇資本金 46,000,000円
◇業務内容 食品製造業(味噌 加工食品)
◇ URL http://www.ishiyama-miso.co.jp/home/top.html    

●関連施策
    戦略的基盤技術高度化支援事業    

 

●公益財団法人新潟市産業振興財団
    http://niigata-ipc.or.jp/ipc/        

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