シリーズ

  人と人との繋がりを生かして成長産業分野にチャレンジする
 ものづくり企業          
東海部品工業株式会社                                

地域経済部 次世代産業課

 我が国ものづくり企業では、これまで研鑽してきた高い技術力を活かして、新たな成長産業分野にチャレンジする事例が多く出てきています。
 今回はその好事例として豊かな自然の中で、自由な発想と確かな技術力に基づいて歩み続けている企業、東海部品工業(株)(静岡県沼津市)の盛田延之社長にお話を伺いました。


■まずは、御社が自動車部品から医療機器分野への参入にチャレンジされた経緯を教えてください。

 社長
盛田延之社長

 東海部品工業(株)は、1947年にネジ部品製造・販売メーカーとして創業し、その後自動車などの輸送用機械器具のネジ部品専門メーカーとして長く取り組んできました。90年代後半には、ハードディスクドライブ(HDD)用のマイクロネジを製造するため、静岡県伊豆市の山間に天城工場を開設しました。21世紀に入りグローバル化やIT化が進展し、国際競争が激化する中で、経営も厳しいものとなりつつありました。そこで、何とかネジ製造技術を他分野で活かせないかと悩んでいる中で、たまたま私の知人であった医師から指関節に使用するネジに弊社のマイクロネジ製造技術が活かせるのではないか、というお話をいただいたことをきっかけに医療機器分野への参入を決断しました。
 2007年には手術用器具の材料であるチタン加工のため、天城工場にチタン事業部を立ち上げ、医療器具の研究・開発、製造に着手しました。そして、2008年2月に第2種医療機器製造販売業許可を取得し、さらに同年12月には修善寺メディカルリサーチセンターを開設し、第1種医療機器製造販売業許可を取得しました。


■これまでと全く異なる分野への参入であり、様々な試行錯誤もあったと思いますが、苦労されたことはどのような点でしょうか。

  医療機器分野に参入したものの、ノウハウが全くなく当初はかなり悩みました。何も分からない状況でしたので、とにかく自ら足を使って自治体や支援機関などとの繋がりを作り、皆様からご助言いただきながら自分自身も勉強しました。また、医療用の部材供給からスタートしたのですが、事業を行っていくうちに、売上げとしても自社製品の製造販売という柱が必要だと感じるようになりました。そこで、自社製品として初めて開発した機器が、人工呼吸補助器具の「QQセーバー」と「フィットマスク」です。この製品は、他の事業者と地元大学が共同で行っていたプロジェクトで製品化に至らなかったものでしたが、プロジェクトの関係者の方と知り合う機会があり、その縁もあって弊社で開発することになりました。事故などで呼吸困難になった人に対して、患者の口に直接触れることなく新鮮な空気を送り込むことができる機器で、現在では多くのマラソン大会で使用されるほどになりました。また、整形外科手術において異物などの洗浄除去に用いる器具である「Jパルス」という製品については、海外製品がシェア100%という状況であり、販売当初は販路開拓に大変苦労しました。現在は、良き営業パートナーを見つけることができ、当該製品で約5%のシェアを獲得するに至っています。
 さらに、今年度には自社ブランドの人工関節用インプラントの販売を開始する予定です。インプラントは海外製品が多いのですが、骨格の違いからサイズが日本人に合わず患者負担が大きいなどの課題があります。この課題に対して、弊社の製品は日本人の体格に合わせた設計となっています。インプラントに関する次の展開としては、個人の骨格等を考慮した高生体適合性の「カスタムメイドインプラント」の開発に取り組んでいます。
 医療機器・部材の開発にあたっては、初期投資として高額な設備を導入する必要もあって苦しい状況でした。しかし、参入してから10年で事業化までこぎ着けることができたのは、元来の弊社事業であるネジの製造がしっかりと一本立ちしていたこと、一度始めた以上は絶対に諦めないという気持ちで地道な取組を続けたこと、そして多くの方々の御支援があったことにあると考えています。
 初期投資を惜しみ医療機器分野への参入を断念していたら、弊社の経営はさらに厳しいものになっていたかもしれません。将来を見据えて、大きな視野をもって取り組むことは、常に意識しています。

マスク パルス インプラント
「QQセーバー・フィットマスク」 「Jパルス」 「人工関節用インプラント」


■最後に、これからの御社の目標についてお聞かせください。

 医療機器部門の立ち上げは人と人との縁があってのものでした。人と人との繋がりを大切にするとともに、社員の豊かな感性と自由な発想力を磨くため、山間に天城工場を開設し、農業事業部を設けるなど豊かな自然と触れ合える環境作りも大切にしています。社員が自由な発想でのびのびと力を発揮出来る環境下で、ものづくりに取り組む。そして、お客様に満足いただける製品の提供を行う。これこそが弊社の強みだと考えています。
 これからも地道に取組を進めていき、数あるものづくり企業の中で、小さくとも「キラリと光輝くオンリーワン企業」を目指して、社員一同頑張っていきたいと思います。


■ありがとうございました。

東海部品工業株式会社
◇ 住所 静岡県沼津市双葉町9-11-12  
◇代表者名 代表取締役 盛田 延之
◇設立 1947年12月
◇従業員 80名
◇事業内容 自動車部品製造(ブレーキ関連部品、ハイブリッド関係部品 等)
マイクロネジ製造(HDD用マイクロネジ、携帯電話用マイクロネジ、模型用マイクロネジ 等)
医療機器・部品製造(手術用部品製品、インプラント製品 等)
◇認証取得 ISO9001、ISO14001、ISO13485
第一種医療機器製造販売業、第二種動物用医療機器製造販売業、 医療機器製造業、動物用医療機器製造業
◇電話 055-921-4174
◇メール infotokabuko@tokaibuhin.co.jp
◇ URL http://www.tokaibuhin.co.jp/index.html    

(参考)同社はQQセーバー・フィットマスクの開発、カスタムメイドインプラントの開発などで経済産業省関東経済産業局の支援策を活用しています。

 

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