シリーズ

  伝統の繊維機械技術を最先端の航空機素材へ応用
                                                             “株式会社市川鉄工”                                           

地域経済部 地域振興課

 株式会社市川鉄工は、国内有数の繊維産地である群馬県桐生市で創業し、今年で創業51年目を迎える繊維機械メーカーである。自社製品は幅広いラインナップを誇り、これらの繊維機械を設計から製造まで一貫して生産している。
 特に、パンティストッキング用の糸を製造する「高速カバリング機」は、細さ・強さ・伸縮性が求められる糸の製造に欠かせないものであり、同社の主力製品として日本製パンティストッキングの品質向上に貢献してきた。また、複雑な形状のレースを編み上げる円形の機械「トーションレース編機」は世界でも数社しか製造していないもので、市川鉄工ではアジアを中心に輸出も行っている。世界中で流通している服飾向けトーションレース製品の半数以上が市川鉄工の機械によって製造されており、世界のファッション産業を支える中小企業である。

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独特の形状を持つトーションレース編機 広い工場で一つ一つの部品も自社で製造している


【世界初となる、編み糸ボビンの回転方向を自由自在に繰ることで柄を出す「F-トーションレース編機」の開発に成功】

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トーションレース編機で編まれたレース製品
様々な形状のパーツを作り出す

 トーションレース編機の輸出が進むと、中国を中心に市川鉄工のコピーメーカーが次々に登場した。これに対し市川鉄工では、従来の平面構造レースよりもさらに高度な3次元的な構造を作り出す機械「F-トーション」を開発した。
 これまで不可能だった複雑形状のパーツを作り出すことができる「F-トーション」はファッション業界にとっても革新的で、大手アパレルメーカーや有名デザイナーから多くの反響があった。これを機に市川鉄工では、これまで取り組んで来なかったアパレル製品部門にも進出し、事業を拡大している。


【オンリーワン技術を航空機分野へ展開】

 ある日、市川導宏代表取役社長のもとに「炭素繊維は編めないか」という相談が県外の産業支援機関から寄せられた。航空機の材料となるCFRP(炭素繊維複合材料)は、炭素繊維をタテ×ヨコに織ったものと45度にカットしてつなぎ合わせたものとを交互に積層して形成されている。しかし、この方法では、炭素繊維に継ぎ目ができてしまい強度が低下したり、また、カットの際に材料ロスが発生したりするなど、製造工程や価格面で大きなデメリットになっていた。
 トーションレース編機の製織原理を応用することで、継ぎ目なくバイアス(斜め)織物を織ることが可能となる。工程の短縮や材料ロスの削減など、航空機向け炭素繊維の多くの課題を解決できるのではないかと、バイアス織物の技術を探していた大手産業資材メーカーから全面的な協力も取り付けた。ローテクと呼ばれていた伝統の繊維製造技術が航空機産業のニーズを引き寄せ、航空機部品向けの応用展開へと一気に方向性が傾いた。
 この開発は、平成24年度戦略的基盤技術高度化支援事業の採択を受け、研究をスタートしたところである。幅数cmという小型の服飾用部品と比べ、はるかに大きい航空機向け部品であることや、市川鉄工として初めて取り組む炭素繊維への対応にも数多くの課題があるが、アドバイザーとして参画している航空機メーカーなど、研究体のメンバーは大きな期待を寄せている。

     【従来技術】                   【新技術】

医療シミュレーター「monoroid」



 【地域の繊維産業を支えるトップランナーに】

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市川導宏代表取締役社長
「桐生地域も国内有数の繊維産地。地域を挙げて
炭素繊維にも取り組んでいきたい。」と話す。

 桐生地域に代表される群馬県東部や栃木県南部を中心とする繊維産地では、海外の安価な製品に押され、製品の出荷数も年々落ち込み、市川鉄工のような繊維機械メーカーも姿を消していった。
 この研究開発は繊維産業の新たな展開を模索している地域にとって明るい話題であり、地元メディアや経済情報誌にも多数掲載されるなど、地域の期待も大きい。市川社長は「これまで当社は、繊維機械の開発から設計・製造に関するノウハウを長年培ってきた。炭素繊維は今まで取り扱ったことがないので苦労することもあるが、なんとか成功させたい」と、開発への自信を覗かせた。


株式会社市川鉄工
◇ 住所

群馬県みどり市笠懸町久宮364-1

◇代表者 代表取締役社長 市川 導宏
◇設立 昭和37年9月1日
◇資本金 1,500万円
◇従業員 25名
◇業務内容 各種精密部品加工及び自社製品(繊維機械)開発・設計・製造・販売
◇ URL http://www.ichikawa-jp.com/    

 

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