マネジメントメンター(OB人材)による中小企業支援
~老舗料亭の新たなチャレンジ~

産業部 中小企業課

 関東経済産業局と地域に密着した金融機関が連携して開催する「新現役交流会」。課題解決のため支援を求める中小企業と、当局データベースに登録しているマネジメントメンター(OB人材)のマッチングの場であるこの交流会がきっかけで支援に結びつき、新たな取り組みに挑戦している事例をご紹介します。

◇企業情報

企業名 有限会社鴨川館(新潟県長岡市)
http://www.kamogawakan.com/index.php
代表取締役社長 長谷川 佐久信(45歳)
創業 昭和21年
従業員数 約30名

◇支援体制

支援機関 新潟県央中小企業支援プラットフォーム
(代表機関:三条信用金庫、担当構成機関:長岡信用金庫)
マネジメントメンター 大津 尚史氏(飲食料品関係OB)

70年ほど前から、新潟県長岡市で「料亭 かも川館」として、本館、別館の2店舗を営む同社。社長の長谷川氏は、既存顧客からの売上が頭打ちとなっている状況において、新規客層の開拓という課題を抱えていた。さらに、会社が発展していく上で、外部からのノウハウを取り入れる必要性があると常々感じていた。そのため、これまでもブライダル関係や葬儀業者と提携し事業を行っていたが、さらなるツールを求め、長岡信用金庫から紹介された「新現役交流会」へ参加することになった。

交流会当日は複数人と面談したが、長年外資系企業でマーケティング、営業、製品開発等、フードビジネスに携わってきた大津氏に支援依頼をすることはその日のうちに決まったという。短期的スパンかつ具体性のある提案に加え、食に関する経験が豊富でキャリアとしても申し分なかったが、「地元以外からもお客様を呼び込みたい」という社長の意向に対し、他の誰もが難色を示す中、唯一大津氏だけが「面白い」と答えたことが決め手となった。「前向きな反応が返ってくると、頑張ろうという気持ちになる。」と長谷川社長は語る。

大津氏は社長の要望に応え、新規顧客の誘致に繋がる企画やメニュー等をスピーディーに提案しているが、長谷川社長自身もまた、大津氏に負けず劣らずのアイデアマンである。例えば、9月に開催された「国産うなぎ会席と勝沼ワインを愉しむ夕べ」。もともと料亭で提供していた鰻料理をワインと合わせるというのは、社長の発案だという。ステーキとワインのマリアージュはありきたりだが、鰻とのコラボはあまりないのでやってみたいと考えたそうだ。大津氏はこれに賛同。自身のネットワークを通じて山梨県の有名ワイナリーとの接点を作り、単にワインを提供してもらうだけでなく、ワイナリーの社長を招いてワインの説明をしていただくという企画を実現し、満員御礼の大盛況となった。このイベントではコース料理のデザートにも工夫を凝らした。料亭のデザートと言えばメロン等のフルーツが定番だが、社長の目からすると「もう飽きてしまった」。お客様もきっと同じだろうと考え何かいい案はないかと大津氏に相談したところ、東京都で地元野菜を使ったケーキを販売している会社の紹介を受け、デザートの提供を依頼するに至った。今後は地元長岡産の野菜を使い、協同で商品開発を進める話が持ち上がっている。

かも川館は伝統ある老舗料亭だが、長谷川社長は現状に甘んじることなく将来を見据えている。「このご時世、新しいことに取り組んでいかなければダメだ」と話す社長のアイデアに対し、大津氏が「それは止めましょう」と言ったことは一度もないという。このポジティブな姿勢が、社長のやる気をさらに引き出し、大津氏の持つネットワークや知見が最大限に活かされることに繋がっている。また、現状を変えることを好まない社風であることが多い業界において、かも川館のスタッフは新たなことへのチャレンジに対して前向きであるということも、社長と大津氏の企画を推進する後押しとなっていることは間違いない。 今後は、従業員に対しても、調理スタッフ向けの料理の盛り付け講習や、女性スタッフを対象とした好感を持たれるメイクアップ術等をテーマに、社員研修が企画されているという。マーケティングや新商品開発のみならず、人材教育等、幅広い分野で大津氏のノウハウが発揮されている。

支援がスタートしてまだ1年も経っていないが、社長の高い意識と積極的な姿勢が、大津氏の支援と結びつき、課題解決に向けて着実に歩みを進めているようである。

社長はこう話す。「困っている経営者は多い。努力には限界があって、野球だったら素振りを千回やってもやり方が間違っていたら球は打てない。それを正すためにコーチがいる。経営も同じで自分のやり方でずっとやっていても限界があり、アドバイスしてくれる他者の指導を受けるべき。」であると。長谷川社長は新現役交流会を通じて、期待通りのコーチに出会えたようである。

関東経済産業局では、中小企業・小規模事業者の様々な経営課題を、マネジメントメンターの力を借り、解決することを目指しています。ボランティア精神と意欲ある企業OB、退職間近の皆様、地域経済を支える中小企業のために支援してみませんか。

新現役の登録は、WEBサイト上で常時募集中です。

http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chusho/management_mentor.html

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